【金カム】愛で満たして【短編集】 (ページ7)

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ブラックサンタ【月島基】ページ7

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配達員×月島

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12月24日、世間はクリスマスイブだなんだと浮かれているやつばっかり。
おまけに、雪がチラつく街中。ホワイトクリスマスだとか言って某珈琲屋の冷たい飲み物を飲んでいるリア充ども。

「 …こちとらクリスマスなんか関係ないんですけど。」

私は、ぼうっとしながら今日も家に引きこもってリモートワーク。ご飯も買い物もほとんど宅配に頼んでいるから、外の様子なんかテレビ越しでしかわからない。

冷えてしまったマグカップのコーヒーを飲み切って、椅子から立ち上がった。そんなとき丁度、家のインターホンが鳴った。

「はーい、今出ます。」

モニターを確認してみればいつもの配達員さん。名前は、確か月島さん。
amasonから頼むものは大体この人が届けてくれている。

「こんばんは、サインお願いします。」

「ご苦労様です！あ、そうだ。月島さんもう勤務終わりますか？」

「？…まあ、はい。」

「貰い物のお茶菓子食べきれないので、持っていってください。」

私は、荷物を受け取ってそのままリビングへ戻る。
私が人と会話をするのは、配達員さんとコンビニの店員さんくらい。
なので、こう言った時しかお裾分けできないのだ。

「あ、あった。」

「 …。」

私は後ろに潜む人影に気づかず、クローゼットに置いてあった未開封のお菓子を手に取る。

メリークリスマス、なんつって。
私は呑気なことを考えていた。

「 …誘ったのは、あなたですからね。」

「え、」

カチカチ、と無機質な音が部屋に響く。
音と声が聞こえたのは真後ろで、しゃがんでいる私に影を落としているのは月島さんだった。

「 …ぐ、っあ、」

「 …。」

カッターを片手に私を突き飛ばしたのは紛れもなく月島さんで、尻餅をついた私の左手首を掴んだ。

やばい、どうしよう。警察呼ばなきゃ、

私は焦りと恐怖で無意識に涙が出てきていた。
なんでこんなこと、してるの。

無表情で私を睨みつける双眸に、怯える私が映るほど顔を近づけられる。

「いつも、いつもいつも。そうやって私を誘惑する。挙げ句の果てに、扉を開けたまま部屋へ戻るなんて…。警戒心のなさと襲ってくださいと言わんばかりのその目。」

「ご、ごめんなさい、やめて…月島さんｯ、」

「いいですね、その顔。とてもそそられます。」

初めて見る月島さんの笑み。
見たくなかった、彼の豹変した一面。

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