【金カム】愛で満たして【短編集】 (ページ4)

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「ごめんなさい！お話中に…。」

「いえいえ、それよりお電話は大丈夫でした？」

すぐに戻って、汗をかいたグラスに入ったカフェオレで喉を潤せば少し味が薄くなっている。
宇佐美さんが頼んだコーヒーはもうすでになくなっていた。

彼は触っていたスマホをテーブルに置いて、またにこやかな笑みを貼り付ける。

「あ、飲み終わっちゃったんだ…。もう出ますか？それとも他に注文しますか？」

「ああ、そうだね。Aさんがよければ場所を移しましょうか。」

私は、残ったカフェオレを一気に飲み干して宇佐美さんの後についていこうとした。
だが、体が思ったように動かず膝からがくりと崩れ落ちる。

「あれ、」

「大丈夫ですか？立てます？」

「 …だ、大丈夫です、すみません。」

「そっか、もう回ってるんだ。」

宇佐美さんは小声でボソリと何かを呟いたあと、私の腰を抱いて支えながら店を出た。

なんだかぼうっとするな。
仕事忙しかったから疲れてるのかな。

私は、回らない頭で必死に考えた。

「 …意識がぼんやりとしてきましたか？」

「え、どうして。」

「くく、ははは、ほんっとに可愛いですねえ、Aさん。何かおかしいなって思いませんでした？」

「 …おかしい、カフェオレに何か入れたんですか。」

宇佐美さんは、私を支える腕を離した。
私は重力に負けて地面に倒れ込んでしまう。

背中に嫌な汗が伝う、頭が真っ白になって呼吸が荒くなる。

「 …入れました。タイミングよく電話がなったのも、たまたまだと思いますか？」

「 …どういうこと、」

「 …全部、今日あなたを僕のものにするために仕組んだ罠です。マッチングアプリ、誰に勧められました？さっき誰から電話がかかってきました？」

電柱の灯りが逆光になって宇佐美さんの顔は見えない。

私は、力が入らない手足と抜けてしまった腰に理不尽な怒りを向けながら、目の前の彼に恐怖を感じる。

「なんで、こんなこと…。」

「そんな怯えなくても。時間かけて手に入れた甲斐があったなあ、可愛い。」

もう僕以外見えないようにしてあげますね。

私はそこで意識を失った。

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