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喜杏が指を指すと銀時は目に見えぬ速さで苦無を抜き、隠した。
「え?何が?」
「いや……今完全に刺さってましたよね」
「血、凄い出てるけど」
「え?何言ってんの?刺さってねぇよ?」
「いやあの、血だらけだし。無理しないでください、大丈夫ですかほんと」
あぁ、恥ずかしいのか。
振り返った時、全部振り下ろしましたみたいな顔していたから余計。
まぁ、普通間一髪で登場し、仲間の危機を助けたのに実は一本防げなかったなんて中々ない状況だ。
「いやだからあれだよ。この血はちょっと掠ったみたいな」
「いやでも」
「刺さってねぇって言ってんだろ!!!そんなに刺したいか!!!分かりました分かりましたぁ!!!刺さったことにしといてやるよ!!!」
認めない銀時に新八も喜杏も呆れ始めたところ、銀時が肩を掴んだ。
「お前ら空気読めよ。俺めっちゃかっこ悪いじゃん。完全に撃ち落とした感じだったのに」
「銀ちゃん、多分もう誤魔化せないと思うけど」
「やべぇよ、俺ちょっと振り向けねぇよ。誰も笑ってない?」
「わっちの攻撃を全て打ち落とすとは。何者じゃ、ぬし」
銀時達のやり取りを見て明らかに気を遣ってくれた月詠の言葉が銀時の胸に刺さる。
明らかに刺さっていた姿を見ている筈なのに。なんていい人なのだろうか。
銀時は切り替えて口を開いた。
「攻撃?そいつぁ悪かった。俺ぁ苦無がのんびり散歩しているのかと」
かっこよく決め始めた。先ほどのやり取りなかったかのように。
まぁこれで進むならそれでいいや、と喜杏達は傍観する。
「どうだい、こんな物騒なもんより俺ともっといいもん……」
銀時の腕に血が流れる。
手を上げた瞬間、またもや見えてしまった別の一本の苦無。
訂正。
この人、全く打ち落とせてなかったのだ。
銀時はまた即座に喜杏達の肩を掴んだ。
「やばい、完全に笑ってるよね。もう無理だ、帰るわ俺」
「落ち着いて銀ちゃん」
「そうです、打ち落とした感じにするから恥ずかしいんですよ。」
身を挺して晴太を護った。新八が銀時にそう伝えた瞬間。
「身を挺して子供を庇うとは大した奴。何者じゃぬし」
またもや気を遣ってくれた月詠に敵ながらなんて優しい人なんだろうと喜杏は思った。
銀時が晴太の安否を確認しようと振り返ると。
一本の苦無が晴太の頭にぶっ刺さっていた。
「せ、晴太ぁぁぁぁぁ!!!」
神楽の叫びが裏路地に響き渡り、喜杏達の顔は真っ青に青褪めていった。
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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時