貴方の傍に-9-【銀魂】

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母の説明を聞いて、意味は分かった。
だが、晴太は日輪を囮にして自分がここを離れることに躊躇する。

もし、このまま日輪の下に刃が向けられてしまえば。
鳳仙がここにやってきたら。

今度こそ会える保証はない。

「晴太」

日輪の凛とした声が晴太の耳に届く。
不安を抱いている晴太に日輪は真っ直ぐ目を見た。

「逃げた先に自由なんてありゃしない。

……戦わなきゃ」

嘗て幼い月詠にも放った言葉。

「檻ん中で戦わなきゃ。檻を蹴破らなきゃ。

本当の自由なんて手に入りゃしない」

優しい晴太。

だからこそ、伝える。今、貴方がすべきことを。私がすべきことを。
本当の自由を貴方と共に、月詠と、吉原と共に掴むために。
だから。

「最後まで戦わせとくれ、晴太」

離れることが歯痒かった。離れたくない。ずっと傍にいたい。

しかし、母の思いも無碍には出来ない。
晴太は伸ばしたい手を握りしめ、唇をかみしめた。



そうだ、まだ本当の自由は手に入れていない。

まだ銀さん達はあの化け物と戦っている。

おいらができることが見つかったんだ。初めて頼まれたんだ。
ならばおいらが行く先は一つ。

晴太は日輪に背を向けた。
ぎゅっと、手を握りしめ、一つだけ、これだけは伝えなければ、と日輪の名を呼んだ。

「……今度会う時は、鉄格子なんて、ないんだから。

思い切り……甘えさせてくれよな」

今度こそ、家族になりたい。

晴太は日輪の返答も聞かず、一歩を踏み出した。



「おい」



聞きなれた声が晴太の耳に届き、顔を上げた。

「準備はできたか、マザコン野郎」

口から言葉に出来ない声が漏れた。目はまん丸に見開いた。

無事だった。
腕や頭に包帯を巻いているけど、本体の眼鏡がないけれど、目の前にいるのは間違いなく自分の背中を押して、いや叩いてくれた。

「さぁ、行こうか」

吉原に太陽を取り戻しに







晴太は、今までにない勇ましく微笑み頷いた。








「晴太」

「……喜杏ちゃん」

走り出すと喜杏は晴太に微笑んだ。やっと伝えれるこの言葉。

「素敵なお母さんだね」

すとん、と喜杏の言葉が晴太に伝わる。そう言ってくれる君においらは。


「だろっ!!!」


涙をこらえて満面の笑みで答えた。
おいらの母ちゃんは世界一だ。

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