貴方の傍に-9-【銀魂】

何度でも叫ぼう432 ページ32

神楽。

神楽。



『……だからいつかお前が安心できる家族になろうネ』
『喜杏、私次は破らないヨ。やっぱり喜杏には私が必要だってことが分かったからナ……！』



思い出すのは嘗て、神楽が私に伝えてくれた言葉。
私、漸く自然と笑えるようになってきたんだよ。

ねぇ、神楽。


咽そうなほどの土煙。しかしこの先に神楽がいると思えば、躊躇なく足が動いた。

足場も悪く、体が激痛を訴えても、手を伸ばす。それは新八も同じだった。



今にも阿伏兎の息の根を止めそうな神楽に抱き着いた。

「か、ぐらぁっ……!」

「神楽、ちゃんっ!!!」

なんていう力だ。動きを封じ込められたことで暴れ狂う神楽の力はとんでもなかった。
それでも新八も喜杏も離れるつもりも力を緩めるつもりもない。

「……何の真似だ」

闘いの先にあるのは生か死のみ。勝者が生き、敗者は死である。
夜兎はそうやって生きてきた。血に従って殺し、血を誇って殺してきた。

夜兎の宿命と言ってもいいのだろう。


顔をしかめる阿伏兎の疑問に新八は叫んだ。

「お前の、ためなんかじゃ、ないっ!!!」

銀時と交わした約束を破るわけにはいかない。神楽を護る、とそう伝えたのだから。

「私、達はっ……今まで見てきた神楽と、いたいのっ」

「夜兎でも、イカれた兄貴の妹でもないっ」



すぐに人を振り回して、後先考えずに動くこともある。飽きるのも早いから、着いていくのが大変だ。
大食らいで食費は誰よりもかかる。朝早くから米を何合も炊くから時間も凄くかかる。


でも、神楽はとっても優しい人。


私のことをたくさん考えてくれる。振り回すのは私に色々体験させようとしてくれた。
たまに辛辣だけど、作ったものはおかわりしてくれるし、褒めてくれる。

夜兎だから神楽を好きなのではない。


神楽が、神楽であるから新八も私も神楽のことが好きだ。

だから、目の前の敵の為に神楽が今まで抗ってきたものを台無しにするわけにはいかない。
手を汚させるわけにはいかない。

「目を覚ませ神楽ちゃん!!!君の敵は、僕らの戦う相手はこんなチンケな奴じゃないはずだっ!!!」

「お願い神楽っ……、四人でっ、帰ろうっ」




銀時と新八と私と、かぶき町へ。





「神楽ぁぁぁ!!!」
「神楽ちゃんっ!!!」

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