貴方の傍に-9-【銀魂】

夜兎424 ページ24

「どけコルァァァ!!!」

銀時を筆頭に廊下を走る。
最後の一人を吹き飛ばし、階段を駆け上った。

推測だが、鳳仙や晴太はこの城の最上階にいる。その場を目指し、銀時達は走った。
誰よりも月詠が日輪達を救いたいだろうに。銀時達を信じ、あの場に残って時間を稼いでくれている。

その思いを踏み躙るわけにはいかない。
また一歩を踏み出した矢先。

「っ!!!」

喜杏の前を走っていた神楽の姿が消えた。襖を何枚も突き破り、奥の部屋に消えていく。

「神楽っ……!!!」

「神楽ちゃん!!!」

吹き飛ばされた方向を見ると土煙が立って安否が確認できない。
何かに吹き飛ばされる前に神楽は番傘で受け止めようとしていたから、恐らく無事だろうが。

「こいつは驚いた」

声が届いた瞬間、ぶるりと鳥肌が立った。

やはり、相手は鳳仙の手下だけではなかった。
行く手に様々な障害があろうとも、百華だけであれば、煙玉を駆使し何とかなる算段はあった。

「誰かと思えばおたくら、あの餓鬼を連れ回していた連中じゃねぇか」

黒いチャイナ服、人物に見合った番傘、そして恐るべき力。
目の前に聳え立つ夜兎は随分と高く分厚い壁である。

「生きていたとはいやはや恐れいったね。団長が来たら喜びそうだ。

地球産にも少しは骨のある奴がいたってね」

「……いよいよおでましか」

銀時でさえ冷汗が浮かび上がる。
それほどの相手だと本能が脳を叩いているのだ。
薙刀を持つ手が微かに震える。

「ひぃふぅみぃよー……。神楽(一人)は殺ったとしてそれでも一人足り」

「寝ぼけてんじゃねぇぞ」

いつの間に戻ってきていたのだろう。神楽の番傘が阿伏兎の腹にぶち当たる。

そのまま襖を破り、奥の部屋まで消えていった。

「誰が地球産アルか」

廊下にカツン、とヒールの音が響いた。

「一緒にすんなヨ。

こちとら根っからのシティー派ネ」

喜杏の前で番傘を構える姿に銀時達は安堵の息を漏らした。

掠り傷はあるけれど、大きな怪我は見た感じない。いつも通りの神楽の様子に無意識に力が入っていた体から抜けていくのが分かる。

「まいったねこりゃ」

一度の攻撃で倒せるとは思っていない。

しかし、平然と近づいてくる姿にやはり力の差というものを感じずにはいられない。

阿伏兎は目の前にいる子兎をじっと見た。
白い肌に番傘、人間にしては異常な力。
渋い顔をしながら、番傘を肩に置き近付いてくる阿伏兎は口を開いた。

「勘弁してくれよ、俺ぁ共食いは趣味じゃねぇんだ」

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