太陽と月420 ページ20
もう何度目だろうか。
門番を任された女達の上空で轟音が鳴り響く。何かが崩れ落ちるような音が止まらない。
見上げれば、あの鳳仙の部屋から土煙が上がっていた。
女達は微かな不安を抱いていた。
「……やっぱり私達も行かないか。南壁では事故が起きたっていうし。
何か吉原で良からぬ事が起き始めているに違いない」
「もう仲間が向かった。こういう時程警備を怠ってはいかん。隙をついてくせ者が侵入するかもしれないだろ」
「その通りじゃ」
突如した声に緊張が走るが、それもすぐに弛緩した。
顔を向けると、先程から姿が見えなかった我が頭、月詠が立っていたからだ。
「頭!!!今までどちらに⁉」
「うむ。崩壊したパイプの撤去にな」
月詠が来たことで安心感が違う。
「鳳仙様は任せておけ」との言葉を受け、門番の二人は道を譲ろうとするが。
「いい?不審者は一匹たりとも通しちゃだめよ。
ちょっとでもピンときたら110番よ、アタイが許可する」
即座に薙刀で道を閉ざした。
「頭、くせ者です」
もう明らかに異質な存在。
月詠の後ろに控えていた四人に目を向ける。いや、四人の胸元に。
ぶるん、と動く度に揺れるメロンのような大きさの乳は誰がどう見ても偽物と答えるだろう。
不自然に揺れすぎて下品という言葉が似合うのではないだろうか。
それも先頭に立っている銀髪は女ではない。明らかに男の身体つき、声帯。後ろの眼鏡も前髪を上げているが恐らく男。
残りの二人は女だろうが、成人にもなっていない小娘だ。
やはり駄目だったか、と呆れたが、月詠は心の内で踏み止まり、「新入りじゃ……」と苦し紛れに伝えた。
「パー子で〜す!!!」
「パチ恵で〜す!!!」
「グラ子で〜す!!!」
「キョウ子で〜す」
「「四人合わせてはちきれピーチ四太夫」」
「頭くせ者です」
「いやだから新入りじゃ」
胸元で腕をクロスし、強調されても何の魅力も感じない。
「大丈夫なんですかこんなの連れてって!
鳳仙様の方がはちきれますよ!!!」
「〇間が?」
「んなわけねぇだろう!!!鏡見てこいシリコン四太夫!!!」
どうにかしてこの門を突破せねば。月詠は焦りを押し殺し、平常心のまま門番の者達に話しかけた。
「新入りじゃが腕は立つ。心配せずともよい」
渋々だったが漸く門番は折れてくれた。
重々しい音を立て開く扉。
「お気をつけてくださいね」
銀時達は一歩を踏み出した。
良かった、何とか誤魔化せた。新八が一息ついた瞬間。
「死出の旅路を」
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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時