419 ページ19
どんな場所でも、どんな境遇でも太陽は昇るのだ。
日輪でもない、一人一人の太陽が。
雲に隠れる日もあるさ。それでも空を見上げていれば、必ず雲の隙間から顔を覗かせる日がある。
「だから俺達は見失わないように空を仰ぎ見ることを止めちゃいけねぇんだ。
背筋ちゃんと伸ばして、お天道様真っ直ぐ見て生きてかにゃならねぇんだ」
俯いても何が見える。
顔を上げて、太陽と共に一歩、また一歩と歩き出してみればいい。
それが幸か不幸なんて知らない。
しかし、その一歩はきっと自分の成長を顕著になって見えるのだ。
「しみったれた面した連中に言っといてくれ」
今はこんな鉛色の空でも、偽物でも。
「空を見とけって」
果てしない青空とお天道様を想像し、神楽達は顔を見合わせ、背筋を伸ばし、立ち上がった。
「……あの鉛色の汚ねぇに俺達が
バカでかい太陽打ち上げてやるってな」
「悪いが断る」
もたれていた体を起こし、月詠は煙管を口に含みながら銀時を見た。
「わっちも共に行くからのう」
背筋が伸びた月詠はさも当然のように言ってのけるので、反応が遅れた。
「吉原との戦いに吉原の人間を連れていくわけにはいかねぇ。……裏切り者になるぜ」
「言った筈じゃ」
使い込まれた煙管に触れ、月詠は口を開いた。
「わっちが護るのは日輪じゃ。吉原に忠誠を誓ったことなど一度もない。晴太を見殺しにする方が余程の裏切りぞ」
月詠は思い浮かべた。もう何年も見ていない青空と太陽を。
「それに」と月詠は続け。
「自分で探す気になったのさ。
てめぇの太陽という奴を」
銀時は渋い顔をしていたので神楽と喜杏は顔を合わせた。
そして、二人して銀時の背中を叩いた。
「諦めた方が早いと思うけど、銀ちゃん」
「そうネ。女の意思は男の股〇より固いアルからナ」
「ちょっとその例えやめてくんなーい」
「銀さん、二人の言う通りですよ」
「うるせぇよ!」
馬鹿らしく、しかし温かいやり取りに月詠は柔らかい笑みを浮かべた。
「……帰るとこなくなっても知らねぇぜ」
「心配いらんわ」
だって、吉原を叩き潰してくれるのだろ?
その言葉に子供達は顔を見合し、口元に笑みを浮かべた。
236人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時