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バカでかい太陽を打ち上げに418 ページ18

月詠は急いでここを離れるべきだと、痛む体を起こして屋根から降りた。
やはりあれ程の騒ぎ。百華の者や警備の者達が集まってきた。間一髪である。


月詠に案内された場所は武器庫であった。
月詠が全て管理を任されている為、誰も寄り付くことのない場所。
喜杏達は各自重たい着物を脱いで動きやすい物を拝借した。
自分が普段着ているような着物の色を見つけたので、インナーの上から身に着ける。

百華っぽく、と銀時に言われたので、いつも後ろで垂らしている髪をまとめ上げお団子に。

懐刀も身に着け、後は万が一にと持ってきた小型の爆弾も隠し持つ。
引き戸にもたれ掛かっていた月詠は謝罪を落とした。

「すまぬ。わっちがもっと早くに逃がしておけば」

「謝る必要なんてねぇよ。元から俺達ゃ逃げるつもりなんざ更々ねぇし」

「……いくのか」

拝借した薙刀、着物諸々、各自戦闘準備を整える姿に月詠はぽつりと呟いた。

「行かなきゃ晴太君が死にます」

「行けばぬしらが死ぬ」

新八の呟きに月詠ははっきりとした口調で言った。

「それでも、行かないと死ぬことと一緒だと思う」

喜杏の脳裏に写るは晴太の涙と笑顔。
依頼金など貰わなくても、友達の頼み事なんだ。

「……夜兎が四人、軍隊一つあっても足りん」

「兄貴は私がなんとかしなきゃならないネ」

手甲を取り付けた神楽は強く手を握りしめた。真っ直ぐな目でバカ兄貴を止めに行くと覚悟を決めた。



きっとこやつ等は何を言っても止まらない。確信があった。
だから最後にこれだけ聞きたい。



「誰が為に行く。

晴太か、日輪か」




「……ちょっくら太陽取り戻しにいってくる」

その問いに銀時は澄んだ声で答えた。

吉原にいる女達は笑っていただろうか。
暗がりに閉じこめられているうちに忘れてしまったのではないか。
女の笑顔こそ、最高の化粧だ。

忘れてしまったのなら、思い出してやらねぇと。

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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時

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