417 ページ17
バカ兄貴。
いつの日か星海坊主が離していたのを銀時は思い出した。
神楽の上にもう一人いて、その兄貴に自身の腕をやられた、と。
その男は夜兎の血を忠実に受け継いでおり、闘争本能の塊のような男であった。
遥か昔、夜兎族には“親殺し”という風習があった。
闘いを好む一族らしい風習であったが、いつの頃か消え、夜兎族の者も忘れかけていた古の風習を兄貴は実行しようとしたのだ。
命を狙われた星海坊主の頭の中を一色にしたのは殺すこと。
自身の息子を本気で殺しにかかった。そこを、神楽に止められたと。
その後、星海坊主は中々家に帰ることが出来なかったと言っていたが、まさか兄貴は春雨の一員だったとは。
名を“神威”。
長い朱色の髪を三つ編みに、青い目は確かに神楽にそっくりであった。
同時刻______。
「これはこれは。珍しいご客人で」
吉原で一際目立つ建物。たくさんの提灯が装飾として吊るされたここはまさに王の城。
ある一室で三味線の音が奏でられる。この城で最も豪華な一室に鳳仙はいた。
「____春雨第七師団団長
神威殿」
盥一杯の白飯を口いっぱいに含む青年。神威。
頬は膨らみ、顔は読むことのできない笑顔が張り付いていた。
「いやぁ、やっぱり地球のご飯は美味しいネ。鳳仙の旦那」
海坊主の説明に添加するならば、この男。若くして春雨の雷槍と恐れられる最強の部隊。第七師団長に登り詰めていた。
「人が悪いですよ旦那。第七師団作ったのは旦那なのに。めんどくさいこと全部俺に押し付けて、自分だけこんな所で悠々自適に隠居生活なんて」
神威は笑みを浮かべ続けていた。
「ふっ、人は老いれば身も魂も渇く。
その身を潤すのは酒。魂を潤すのは」
______女。
まだ成人にもなっていない目の前の青年に示した。
教授するかのように。鳳仙の言葉に神威は頷いた。ほぅ、鳳仙は感嘆した。この男、闘い以外の味も覚えたのかと。
「ならば上玉を用意してやる。言え」
「えぇ、じゃあ
日輪と一発〇せてください」
その言葉に鳳仙の表情は消えた。
傍にいた女達も勿論、神威も微かに放たれている殺気に気付くが、神威だけおもちゃを見つけたような顔で笑ったままであった。
数分後、悍ましい轟音が響き渡る。
236人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時