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神楽が何度揺すっても晴太は目を覚まさない。
つい新八と喜杏は銀時に目を向ける。
打ち落とすとかかっこ悪いとかのレベルではなく、大事な依頼人、いや可愛い弟分のような存在であった晴太を護り損ねたことの方がまずい。
傍から見れば「銀時、お前一体何しに来たんだ」と罵詈雑言を浴びせられる位だ。
そんなこと本人が一番わかっている。
「て、てめぇら!!!死ぬ覚悟はできてんだろうな!!!」
誤魔化した。全力で誤魔化そうとしている。最終的には他人のせいにした。
しかし、血走った眼とドスのきいた声は百華の者達に鳥肌を立たせるのに十分だった。
険悪な雰囲気の中、一人手を挙げる者がいた。
「わ、私見ちゃったんですけど……
「「……」」
その証言が本当ならば。
「銀ちゃんが犯人じゃ……」
「しっ!!!喜杏ちゃんしっ!!!」
百華の方達も次々と銀時が、銀時が、と声が上がった。
様々な声が耳に届いた銀時は最終的に。
「てめぇら!!!死ぬ覚悟はできてんだろうな!!!」
「なかったことにしてる!!!この数行のやり取り丸々なかったことにしてる!!!」
その焦り様に月詠は何を思ったのか。
「ぬしもわっちの苦無の餌食となるがいい」
優しい。本当に優しい。
またもや気を遣ってくれている。
その心遣いに銀時の胸は痛み、涙腺が崩壊しそうだった。
今、俺凄い惨めじゃない?過去一惨めなやり取りしてない?
あの人本当に優しいな、とか思っていると一本の苦無が銀時のおでこに刺さった。
「「銀ちゃん(さん)!!!」」
油断した。
地面に倒れた銀時は白目をむいた状態だった。
神楽も喜杏の自身の武器を構えた瞬間、同じように胸に苦無が刺さり、自然と地面に体は倒れていった。
「……奴らはわっちが全員始末しんした」
遠ざかる筈の月詠の声が明確に聞こえる。
「そう鳳仙様に伝えなんし。後始末はわっちがしておく」
月詠の指示通り百華の者達は裏路地から引いていく。
すぐに静かになり、月詠は銀時の傍に歩み寄った。
「おい起きなんし」
銀時のでこに刺さった苦無に手を伸ばし、引っこ抜く。
「さっさとせんと今度は本物の苦無を叩きこむぞ」
晴太を含め、全員ゆっくりと起き上がった。
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月見ソウ(プロフ) - 萩月さん» 萩月さん、コメントありがとうございます!遅れてしまってすみません。一気に読んでくださったこと、可愛いと感じてもらえてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (1月13日 6時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
萩月(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、不器用ながらも喜杏ちゃんを可愛がる銀さんや甘えたな年頃の喜杏ちゃん等、ニヤケが止まりません!続きを楽しみにしてます。年明け早々色々ありましたが作者さんも無理せず頑張ってください、これからも応援しております。 (1月3日 15時) (レス) id: 18ce4c7edf (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 蛙好きさん» 蛙好きさん、コメントありがとうございます!一気に見てくれたんですか!?嬉しいです、ありがとうございます。一月下旬当たりにここに戻りたいと思ってるので、申し訳ないですがもう少しお待ちください。これからもよろしくお願いします。 (12月26日 16時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
蛙好き(プロフ) - 夜中一気に見ちゃいました、続き楽しみにしています (12月23日 2時) (レス) @page46 id: 7bb3646af7 (このIDを非表示/違反報告)
月見ソウ(プロフ) - 甚嘉さん» 甚嘉さん、コメントありがとうございます!成長は特に意識して買いてるので感じてもらえて凄く嬉しいです。少し更新速度落ちてますが、頑張ります!よろしくおねがいします。 (9月25日 23時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2023年9月4日 0時