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手当を終えると少女は直ぐに俺と距離を取り、懐刀を俺に向けた。警戒が解かれてないことくらい最初から分かっていたので驚きはしない。
「もうやめとけ。お前はもう殺しなんかできねぇよ」
「でき…る。怪我をしてても、振れる…!」
「怪我とかも関係ねぇ。そんなぶれた心じゃ無理だっつってんだ」
俺はゆっくり少女に近づく。
それと同時に少女も後ろに下がっていくが、とうとう壁に背中がついた。
分かってんだ。最初からお前が俺を見て動揺してることくらい。
分かってんだ。お前がさっきの奴ら殺そうとしなかったことくらい。
分かってんだ、お前が本当は
優しいやつだって。
俺は懐刀を握りしめた。少女はその行動に驚き、引こうとするがしっかりと俺が握りしめてるためぴくりとも動かない。血はドクドクと流れるがそんなこと気にしなかった。
そのまま少女の頭に手を回し引き寄せた。
「ずっと何かに怯えてたんだろ。だから殺.しを続けてた」
離れようと少女は腕の中でもがく。
「けど今のお前は恐怖を感じたんだろ。ここから抜けたいって思ったんだろ。
だからさっきも殺.そうとしなかった」
少女は抵抗していた力を緩めた。
「まだお前の心は汚れちゃいねぇよ」
少女の身体は小さく震えた。
「人を殺.すことに後悔して泣くくらいなら辞めちまえ。
これからは人を救うために生きろとも言わねぇ
よ。
ただお前が後悔することはするな」
少女の目にはどんどん水が溜まっていく。
「それが分かんねぇなら俺のために生きてみろ。
俺が、万事屋が、お前の家族にでもなってやらぁ。
連帯責任がお前の足枷にでもしてやるよ」
遂に決壊したかのように少女はポロポロと涙が頬を伝った。
なんだ。やっぱ神楽や新八と変わらねぇただの餓鬼じゃねえか
餓鬼ってのは本当に面倒臭いな。
なぁ……。
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月見ソウ(プロフ) - 偃刄将さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて恐縮です。これからもよろしくお願いします! (2020年4月30日 14時) (レス) id: 5772551842 (このIDを非表示/違反報告)
偃刄将 - 初めまして、作品読まさせて頂きました!面白いです、これから更新頑張って下さい!! (2020年4月30日 5時) (レス) id: 407c15182f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見ソウ | 作成日時:2020年4月27日 22時