sin,3 ページ4
□■
男の人は隣を歩きながら、この場所について色々説明してくれた。ここは、"ナイトレイブンカレッジ"という魔法士養成学校……この時点で、既にファンタジーすぎて頭がついていけない。
この怪しげな男の人はクロウリーさんというらしく学園長らしい。大体、話を聞き終わり一つの考えが確信に変わった。
『……あの、たぶん人違いだと思うんですよね』
さっきまでの話に何一つ覚えもなければ、理解できるものでもない。私の言葉に、クロウリーさんはそんなことないです!と即座に否定した。
「この学園は闇の鏡によって、選ばれた者しか入れないのです。貴方の元にも、黒い馬車が来たでしょう?」
記憶を辿ると、確かに意識を手放す直前黒い馬車を見た気がした。月に浮かぶあの異様な光景は幻ではなかったのか。
「馬車が迎えに来たということは、貴方は闇の鏡に選ばれたということです。あの馬車は、学園に繋がる大事な"扉"を運んでいるのですから」
『はぁ、そうなんですか』
相槌を打っていると、クロウリーさんが立ち止まった。
「大事な日のお迎えは馬車と相場が決まっているでしょう?」
『……そうかもしれませんね、絵本でもお姫様の元には馬車が迎えに来るので』
私は、お姫様でもなければ招待されたのは煌びやかなお城でもないけれど。私の言葉に、クロウリーさんの仮面の下の瞳が細くなった気がした。
「さ、入学式へ行きますよ」
■■
私が眠っていた部屋へと、近づくと話し声が聞こえた。ちらりと隣を見れば、既にクロウリーさんは勢いよく扉を開けている。
「まったく、新入生が1人足りないので探しに行っていたんです」
起きた時は、逃げるのに必死で見ていなかったが棺が沢山浮かんでいた。その異様な光景に、思わず見入ってしまう。
「さぁ、寮分けがまだなのは君だけですよ。狸くんは私が預かっておきますので、鏡の間へ」
トンっと背中を押され、鏡の前まで歩いていく。豪華な縁に埋められた鏡は真っ暗で何も見えない。前に立った途端、真っ暗だった鏡から顔が浮かび上がってきた。
『うわっ?!びっくりしたー……鏡から、なんで顔が?』
「汝の名を告げよ」
『えっと……A、です』
名字を言おうとした瞬間、頭がズキリと痛み思い出せない。諦めて、名前だけ告げれば鏡の中の顔が口を開いた。
「汝の魂のかたちは……わからぬ」
「なんですって?」
(なんだろう?すごく嫌な予感がするのは気のせい?)
358人がお気に入り
「ツイステ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちょこもち | 作成日時:2020年4月24日 13時