sin,2 ページ3
□■
『はぁっ……っ、最悪!!』
慌てて入った部屋は本が沢山並んでいた。恐らく図書館だろう。
息を整え、そう吐き捨てる。私はただ、いつものように学校から帰っていただけなのに……あれ。眠る前の、自分の行動を思い出そうとしたが頭に靄がかかったように思い出せない。
「オレ様の鼻から逃げられると思ってんのか!ニンゲンめ!」
狸に追いつかれてしまった。炎が燃え上がり、1歩ずつ近づいてくる。
『待って!』
「待たないんだゾ!丸焼きにされたくなかったら、大人しく……ふぎゃっ?!痛っ?!なんだ、この紐」
ジリジリ近づく距離にぎゅっと目を瞑った瞬間、狸の叫び声が聞こえた。その声に閉じていた瞼を開ける。
「紐ではありません!愛の鞭です!」
目の前に立っていたのは、黒い仮面をつけ、その顔の半分を隠した男の人だった。
「あぁ、やっと見つけました!君、今年の新入生ですね?」
急に現れた事に、驚いて言葉が詰まる私を他所にその人は喋り続ける。ーー新入生?何の話?というか、
『こ、これが、視えるんですか?』
「?何を言っているんですか、貴方。まだ、手懐けられていない使い魔の同伴は校則違反ですよ」
私以外にコレが視える人間がいる。そのことに嬉しさが混み上がってくるが、直ぐに話が噛み合っていないことに気づいた。
「まったく!勝手に扉を開けて出てきてしまった新入生なんて前代未聞です!……時に、貴方どうしてスカートを履いているのですか?」
『わかりません、起きたらこの格好になっていたので』
「そうですか……ですが、困りましたねぇ。スカートは嫌でしょう?男の子なのに」
『……私、女ですけど』
「え?」
私の言葉に、男の人が固まった。確かに、髪の毛は肩につかないボブにしているが失礼にも程がある。そんなに中性的な顔立ちはしていない筈だ。
「えぇぇぇっ?!た、確かに男の子にしては声が高いなと思っていましたが……あぁ!なんてことでしょう、馬車が女子生徒を連れてくるなんて!!」
女子だと、何か不味いのだろうか。とりあえず、荒ぶっている男の人にすみませんと謝っておく。
「ま、まぁ仕方ないです。とりあえず……入学式へと向かいましょう」
『待ってください!ここは、どこなんですか?てか、貴方は?』
「おや?空間転移魔法の影響で記憶が混乱しているんですかねぇ。仕方ないので、話しながら行きましょうか」
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作者名:ちょこもち | 作成日時:2020年4月24日 13時