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夕羅の身体が蝶へと転じていく。自らの血肉を代償とする異能、全身を使えば命を失う代わりに奴等を簡単に殲滅できるだろう。蝶となって消えていく夕羅は美しくて儚かった。
蝶達が相手の方へむかっていく。ただ、今日は晴れだ。火………熱に弱い蝶達の動きは、僅かに鈍かった。そして、相手も賢かった。
「なるほど。」
そう言って、周囲に火を放つ。
蝶達は熱で弱り、墜落。そして炎に飲み込まれ消えていく。
貴『え………?』
「これで終わりだ。あの蝶が殺したのは、非異能力者の操作能力、自らを殺した相手を道連れにする能力の持ち主だ。貴様等は私を攻撃出来まい。」
そう言って敵は嘲笑う。でも、私の頭の中は怒りで埋め尽くされていた。
貴『よくも………!』
そして私は相手の懐に飛び込み、……蝶が作った肩の傷に種を植えた。いくら熱に弱くても、植える場所を考えれば花が死ぬ前に相手を殺すことが出来る。自らに移る苦痛なんて関係ない。此奴を殺すことが出来ればそれでいい。
私は首に走る痛みと、薄れていく意識に安心して、眠りについた。
中「首領。」
森「どうだった?」
中「枯野と朧が自らを犠牲として、相手を殲滅しました。あの組織は完全崩壊したと言えるでしょう。」
森「分かった。皆にお疲れ様と伝えておいてくれるかい?」
中「分かりました。」
森「中原君。」
中「なんでしょうか?」
森「あの子達が、元から死ぬ気だったと言ったら信じるかい?」
中「どういうことでしょうか?」
森「あの子達は、任務前日に私の所に来てこう言ったんだ。」
『相手を殺せば必ず損害が出ます。かといって構成員は戦うことが出来ません。なので、僕達が死にます。これは、Aと相談して決めました。』
『本当に構わないのかい?』
『はい。私達は此処が、ここの人達が大好きになりました。死んで欲しくないんです。皆さんのために死ねるのなら本望です。』
中「そんなやり取りが………」
中「首領、お願いがあるのですが。」
森「なんだい?」
中「彼奴等を忘れないために、墓を作りたいのですが。」
❦ℯꫛᎴ❧
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零霧(プロフ) - 夜霧アヤメさん» ありがとうございます。読んでいただけて嬉しいです。 (2018年4月15日 22時) (レス) id: 233840da50 (このIDを非表示/違反報告)
夜霧アヤメ(プロフ) - 作品読ませて頂きました。文章にまだ拙さが残っていますが、まだまだ伸びしろがあるので頑張っていただきたいです。これからもひっそりと読ませて頂きますね。 (2018年4月15日 22時) (レス) id: 579f966950 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零霧 | 作成日時:2018年3月30日 9時