５５話 鋭気を研いでいる ページ8
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「えぐい。 我が妹ながら狂気すら感じる……そんな子じゃなかったんだけどなぁ？」
凛月がそう言っても、兄者は何も反応を起こさず、そのままリビングに行き、私をソファに寝かせた。凛月も鼻柱を摩(さす)ってついて来た。 ーーー表情は、険悪そのもの。
「兄者に噛みついたってことは、あんた傷だらけなんでしょ。 Aには起きたら言っておくから行ってきていいよ。……さっさとそれ、洗い流して来て」
「うむ。そうするかの……あぁ、凛月」
「…なに」
「Aには何も言わないでおくれ。 この前のことでこの子も、嫌悪感を出すじゃろうし、また逃げ出しかねん。 そっとしておいてくれんか」
「あの態度といい、まずは話を聞いてやることが必要じゃて」 ーーー真剣な顔で向き合おうとするものだから、凛月は思わず気後(おく)れして返事をし損なった。
「だろうね。……同族(吸血鬼)なら、もっと悪役らしく、その道の大御所ぶってもバチは当たらないのに」
「そうはなって欲しくないから、Aには厳しく言ってしまうのじゃよ、凛月？ そんなのが二人おってもしょうがないじゃろ」
「……その分おまえは、妹にうんと優しく接してあげてくれよ？」
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自分の血を洗い流した兄者が、そっと私の横たわるソファに腰掛けた。 私を背後にするような形で、背を向けている。
「A、聞くがよい。 我輩は心優しい『お兄ちゃん』として、妹が危ういことをしていたら、ここぞと助けてやりたいだけなんじゃよ」
「迫害などせん。 やりたいことを目一杯、やらせてきたつもりじゃ。 お前がやりたいように、したらいいから。 そう言っておったじゃろ？ ……今はそう信じたいものじゃ」
他人のことばかり気にかけて、自分だって痛いだろうに。 冷えきった頭で私は深く考えた。 信じたいなら、信じたっていい。お兄ちゃんにはその権利があるよ、なんて、言えようか。
「おぬしはまだ血塗れのままなんじゃな。 凛月、拭ってやろうとか思わなかったんじゃろうか……。 くくっ、さすがは我が弟、否が応でも根は同じのようじゃな」
まぶたの奥が暗くなった。 顔を覗き込んでいるのか、石鹸の清らかな匂いがふんわり香ってくる。 先ほど食い落としたソレが、馴れ馴れしく近寄っている。 払い落としてもいい。それほどの怒りを、私は受けたのだ。
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日向サク(プロフ) - さくぷらさん» わぁっ、ありがとうございます！ やる気出ますね、これからも頑張れそうです！ コメントありがとうございました！！ (2018年4月3日 9時) (
レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
さくぷら(プロフ) - 初めまして！前作からお邪魔しております。夢主ちゃんが可愛くてついつい読んでると笑顔になるぐらいこの小説が好きです…(*´ω`*)続編おめでとうございます！これからもささやかながら応援させてくださいませ(*^^*) (2018年3月27日 20時) (レス) id: af6c7ada7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日向サク x他1人 | 作成日時：2018年3月27日 19時
