暗闇,041 ページ42
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「大丈夫か、……泣き虫娘」
「『だいじ』ないです。いま、あなたの顔を見たくないです。おかえりください、おかえりください……」
彼女が十円玉をぽいっと、零に投げつける。人ならざる者が、『妖狐』であると糾弾されても、そう『イタイ』ような話でもないのだが。それでも愛する誰かに拒絶されるのは、ちょっぴり悲しい……。
「___と、いうことは凛月のことか……やっぱり。『俺』が言うことでもね〜けど、弟はそんなネチネチした奴じゃね〜から大丈夫だよ、本当に」
ぐらり、ぐらり。
少しだけ気持ちが前を向き始めたみたい。どれだけあなたの言葉に救われてきたことか、わたしだけではない。たとえ元気が無くても、彼女はそう思っているのではないだろうか。
「けさ、あやまりに行ったんですけどね……。まともに聞いてくれなくって。時間が時間、ってかんじもあったんですけど。むずかしいです」
「いや、本当に。大丈夫だよ…めんどくせ〜なっ?」
ちょっとギャグ漫画じみてきた。実は、先ほど零が凛月の様子を見てきたようだった。「え〜、なんで兄者が来るの。……平気」と。逆に悪びれている素振りを見せていた凛月に想いを馳せては、頭の中でも引っ叩かれる。
「じ、『ジェノサイド』も待ってるぞ〜……?うう。我輩もうこの名前呼びたくないんじゃけども!」
「…ふふ。そうですね、きょうのご飯をまだ与えていませんでした。いきましょうかね、わたしもお腹ぺこぺこぺこり〜ぬ、です〜」
「ふはは、なんだそれ」
やはり彼女は、強い。他を想っては、今の自分を咎めてこそ救いに行く。それが危ういサインな時もあるけれど、そういう時は零が助けてくれることだろう。
ーー零は、かすかにこの感情へと水をやる。
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日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時