暗闇,004 ページ5
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「本当に憐れむ奴があるか。お前がそんなことをしないということくらい、承知済みだ。お前も、前とは違って大人しくなったからな」
「わたしのこと、えらく過大評価してくれるんですね〜…まあ、いやではないですよ。」
「ふんっ、奇行を除けば俺にはお前の全てが正しく見えるからな。それだけの理由だ」
んん〜っ、とAは背伸びをした。こうやって友と会話を交えるだけで、生きている心地がする___と言いたげに。それほどまでに表情が朗らかだ。
「ともあれ。わたし…まだ『ねくら』のいたずらに乗せられるほど、衰退してないんですけどね。今回だけは『とくれい』として、友のよしみとして___」
「ーーーあなたの希(のぞみ)をかなえます…♪」
少しだけ照れくさそうに、人差し指で目尻を掻いた。クラスメイトには最近になってやっと、書類などを手渡しで貰えるようになった。なぜなら、昨年度は生徒のとある怨念が彼女含め『五奇人』に向けられていたからだ。
今でもその怨念は消えないけれど、Aはそれらについて特に論を述べないでいる。
「あぁ、いつも……すまない」
果たして敬人の指す『いつも』が、この事柄も総じて指しているのかは定かではないが。どうだろう……彼ならば毎日自分を問答しているのではないだろうか。
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「ようやく来たね。敬人、少しのタイムロスを要したようだけれど……ありがとう。助かったよ、ちょうど生徒会の雑務の方を進めてて忙しかったからね」
「あぁ、俺も仕事が残っているからもう行くが」
適当な挨拶を交わしてから敬人は生徒会室を後にした。Aの座ったソファ、どうやら何か落ち着かない様子だ。腑に落ちない、といった様子でもある。
「さ、遅くなったけれど食べようか。君とは色々と話したいこともあるからね、ふふ♪」
「ふえラムネに、よっちゃ*イカ、それにビスケットまでありますね。ランチをするという話をきいたんですけど……う〜ん」
どれもこれもわたしの好物です〜♪とテーブルのお菓子に手を伸ばす。他の奇人達とは違って、彼女はあまり忌避感が無いようだ。なかには、毒味がいるね!とか死ねば?という人もいたりするけど。
「そうかな?僕はともあれ、君にとっては最高の『ランチ』なんじゃないかな。誰かさんが『我輩の妹はご飯を食べないのじゃ!』と、わけの分からない自慢話を聞かせてくるからね。知っているんだよ」
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日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時