ビワーガノ・デ・ウラク【あんスタ！】 (ページ37)

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暗闇,036 ページ37

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斑に言いくるめられているほど、彼女は脆い。もっと強靭な精神力を身につけなくては。人として、肉体的な『強靭』しか抽出できないようであれば、それは怪物。恐らく本物の怪物になってしまうだろう。

「会長さまがはじめて言ってくれました……わたしを見て、お前はにんげんだって。今ならまだ手がつけられるよって」

「今でこそ、あんな風にしらばっくれてはいますが昔は____それはそれは。『手がつけられない』ほどでして」

まるで幾度と濾過を重ねた精製水に、見えないくらいの極量の毒を垂らすみたい。ニコニコと皮肉を垂らす。毒と血肉で、新たな生物を生み出すつもりだろうか。古代世紀のパラケルススのように。

「ままの言葉もうれしいですが、やっぱり会長さまのあの笑顔が『あたま』から離れませんね……」

「あきらめた顔も、いらいらした顔も、会長さまの『まっくろ』はわたしにとっての『おてんとう様』といっしょなのです。もちろん笑っていただくのが、一番いいのでしょうけど……」

「愛してるねぇ～」と背後から気配が。弛緩した語尾だけど、オーラが何処と無く闇を帯びている。それもよりによって彼女が、違(たが)えるはずがなかった。朔間凛月、零の弟だった。

「ぬ…、あぶないです～」

「ふふ、ごめんね。ひとりでブツブツ言ってるのが愉快で、驚かせようと思ってこっそり寄ってみたの。」

「そんなことよりA。本当に兄者のことしか見えてないんだねぇ……？」

「は、はい……？」