検索窓
今日:12 hit、昨日:6 hit、合計:19,847 hit

暗闇,033 ページ34






「では、わたしはジェノサイドのエサを買ってきます。そういえば、昨日からなにもあげてませんでした〜……」



「いきものを育てるって、意外とたいへんですね」と零に微笑みかけた。彼女相手に「勿論」なんて言えず、少々返事に困った様子だったが、案外容易に見つかるようだ。



「うん。でも、育てる覚悟はあるんだろ?そういうのは、死なせたくないって想いがあるなら大丈夫なもんなんだよ」



「何かあったら、いつでも頼ってくれて構わね〜から。絶対に一人で抱え込むなよ」



一言多めに、零の優しさが降ってくる。ちらちらと降ってくるけど、全てが優しいわけじゃない。敢えて突き放そうとする『覚悟』くらい、彼にもあるのだから。




「わかりました〜……。あれ、そう言ってるうちにベル鳴っちゃいましたね。それではランニングがてら、走ってきましょうか〜……♪」



「はは。自由だな〜、昨晩は雨が降ったみたいだから走らない方がいい____って聞いてね〜のか」




部室のドアを開けたまま、そのまま突っ走っていったみたいだ。言ったそばから俺の元へ『搬送』されなければ良いんだが。一抹の不安がよぎったが、すぐにまた眠りへと向かった。










「すみません、そこのあなた。」



まずは、片っ端から声をかけてゆく。名前も知らない生徒に馴れ馴れしく。勿論『月王A』を知らない生徒などいないわけで、誰も彼もが彼女を侮蔑の眼差しで見下した。




「ウーパールーパー用のえさをさがしているのですが。わたし一人ではむずかしくて……すこしでもいいので手伝ってはもらえませんか?」




これは絶好のチャンス、とばかりにその生徒は彼女を突き押した。大嫌いな奴が困っているなんて。もっと困らせてしまえ。そういう意識だ。




なにが、学院をよくするものか。その間違った「物語」の裏にしいたげられた者はいないか?聴衆は、そんなことを一度でも考えたことがあるというのか。この学院に必要なのは、そういうところじゃないのか。なんて、優しすぎる彼女の代わりに、是非言ってやりたい。



「うっ。……あの、なにか…?」



突き押されても、こんな様子の彼女に男子生徒は尚も腹を立たせる。違うのに。彼女だって本当は分かっているはずなのに。これ以上、えぐってはいけない。



ーーーそんな扉を無理矢理にこじ開けられた。




「っ…、ごめんなさい。初対面のかたに『ぶしつけ』でした。他のかたにあたってみます」

暗闇,034→←暗闇,032



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
60人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。