暗闇,010 ページ11
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「それでは……はい♪」
「うん?両手を差し出してどうしたんじゃ?手相でも見て欲しいのかえ……って、いかんのう。これは近いうちに悪いことが起きるぞい!」
「むう、そうじゃないです〜……」
「さっしが悪いですね〜」と頰を膨らませる彼女は、正真正銘この学院のアイドルだ。闇と暗雲立ち込める、昨年度の抗争戦の末に彼女は生き残った。決して闘いに加わらなかったのではなく、きちんと参加して生き残った。
ーーー彼女は数少ない、生存者。
「お菓子、くれるっていってました。がんばったのに『いいこいいこ』も無しで、おまけに『ほうび』も貰えないとは……」
「とんだ『きちくやろぉ』になりましたね〜」
「うふふ、うふふふ〜」と彼女は、鼻歌混じりの笑いを零に届ける。対して零と晃牙の二人は完全に唖然とした態度を見せる。
「き、きち……鬼畜ぅ!?」
零は思わず絶叫する。そう、言うなれば『絶叫』。軽めに言って『絶叫』である。あの朔間零が叫声を挙げることもまず無いだろうに。
「ひえっ!どうしてそんなおおきな声を出すんですか〜……。会長さまが自分でいってたじゃないですか。かるく『しょっきんぐ』ですよ…」
「そ、それは昔の話じゃろうが!」
「な、ななな…なな、ななななっ」
零は顔を真っ赤にしながら怒って、晃牙は「ななな」と謎の呪文を唱える。それも全てが愛おしい。そう言った表情で辺りを一瞥する彼女。
「も〜。怒るくらいなら、わたしの『きげん』とってくださいっ。さもなくば、このまま会長さまの『はずかしい』こと言っちゃいます〜」
「やめんか恥ずかしいッッ!」
「ようきゅう。わたしは会長さまからの『いいこいいこ』とお菓子をきぼうします。」
「このガキは……っ!!」
「わあ、ばけの皮をはがしました〜」と何故か得たり顔の彼女。たしかに昔の面影を取り戻した朔間零は、周囲からしたらさぞ物珍しいことだろう。
「……なな、なななな、なななっ」
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日向サク(プロフ) - ありがとう〜 (2017年12月14日 18時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
しょーり - サイコー!! 大好き!! キュンキュン!! (2017年12月14日 18時) (レス) id: d8a6f4a6f4 (このIDを非表示/違反報告)
亜純(プロフ) - とってもいいです!!最高です!!応援しています!更新頑張って下さい! (2017年10月17日 1時) (レス) id: f65f9d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向サク | 作成日時:2017年9月16日 10時