【あんスタ】*求めてやまない。*２ (ページ5)

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５３話ページ5

〈数日後〉

「なー。マジでさあ？さっきの男が良くて、なんで俺たちは受け付けてもらえねぇのかなあ」

午後のお昼下がり。いつもの様に、学科併用場で尻尾を振っていると、頭の悪そうなカップルが私に突っかかってきた。話題はどうこう、たしか____『俺の何処がダメなんだよ』って感じだった気がするのだけれど。

うるさいよ、ど阿呆。君がもしも『女』という性別であったなら、今ごろ迷わずそう言ってやっただろうに。仮にも『男』で在るならしょうがない。理性に逆らって本能で生きると、所詮いいことが起きないのだから。

「や、ほんと。困っちゃうので……ごめんね」

「はッ！ちょーウケる、この女何様のつもりなわけ？ドル科で逆ハーの上にビッチとか！クソも笑えね～よ死ねハゲ」

(……え、誰ですかあなた。)

金髪鼻ピアスのギャルが、前におどり出てきた。ということは、いま口を開いていた勘違いイケメンよりも数歩私の方へと歩み寄っているわけで。

「えぇ…？何語で喋ってるのかな、乙狩くんに聞いてみようかな」なんてボソッと呟いてみる。もちろん単体で向かってきた、とっても勇ましい『この女』だけに。

「…っ、シュウ！さっさとこいつ潰そう！今こいつに侮辱された、めっちゃ小声で！！」

「きゃっ、もうやだ。……大きな声出さないでよ、この人ほんと怖い」

シュウ。同じ宗なら斎宮先輩の方が、まだまだ劣らない美的感覚があるだろう。『同じ宗』と、この人たちと並立するのも馬鹿らしい。斎宮先輩に失礼だ。なんたって斎宮先輩は、朔間先輩のご友人なのだから。

(ふうん。へえ……？)

(この人達はもともと私を潰すって目的で、私に声をかけてきたのか。ほんと…こんな人がいるのかってほど、酷いよね)

「まあまあ、お前は先に戻っとけよ。俺この女の子と真面目な話あるからさ、ねーなんでかな？俺がダメで、さっきの男が良い理由」

「は？シュウ！アンタは誰のものだよ！」

しばらくここには近寄らないでおこう、と心に固く誓った私。しかし、それでもこの茶番劇が終わらないのは事実。どうしようもないが、第三者が入らなければいけない気がするのだ。退屈だが、その方法しか今はないだろう。