19話 雲泥の差 ページ20
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「よっし、それじゃ解散〜♪」
「お疲れさまでしたー……」
ぴょこぴょこ跳ねるように、ベンチへ戻るなずな先輩。かわいい。女である私にはもちろん劣るけど、そこらの女とは雲泥の差が広がる。私は何も言わずに、なずな先輩の後をついて行く。
「泉ちん、また来なかったな〜?やっぱり、真ちんがいないから来る理由がないんだな……おれ、ラリーの相手がAしかいないよ」
「へぇ。つまり、嫌なんだね?」
「いちいち突っかかるなよ、言葉の綾だろ……」
「ふはは〜、わたしの気持ちなんか予測も出来ないんでしょ?……だったら落ち着いて行動しなきゃね、今日のプレイも乱れてたよ」
「うにゅっ!見てたのか?」。見ていたとも、部員は少ないんだから。一緒にラリーもしてたら、それは気づくだろう。黒いリュックを背負って、私はコートを出た。
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「A〜っ♡頑張ったのう、お疲れさま。そのユニホームも似合っておるぞ、約束は守れておらんのじゃけど!」
「うあ。秒で見つかったんだけど……」
兄者は、手にしたジャージをぐいぐいと押し付けてくる。自分のジャージでしょ、なんで私に渡すの……?
「えっ、なんでそれをわたしに渡すの?いいよ、脚の長さ合わなくて踏んじゃうだろうし」
「だからって生足はいかんよ。慎ましくあれと言ったじゃろ?それも約束にあったはずじゃ。忘れたなどと、普通の女子高生のように生活したいなどと、願っておるわけでもなかろうに」
色んなものに雁字搦(がんじがら)めになっている私には、なずな先輩みたいにぴょこぴょこ飛び跳ねることすら許されない。きっと、「慎ましくない」などと糾弾されるだろうから。
_____大好きなお兄ちゃんに、そう言われるのは辛いから。と言っても、どれくらい頑張ればいいのか、全くわからない。何をどう励めばいいのか、わからなかった。
「裾は曲げておけばいいじゃろう。どれ、お兄ちゃんが手伝ってあげようか。昔のように『お兄ちゃん、おねがい♡』と言ってごらん♪」
「そんなの言わないから。これは貰ってあげるから、もう行ってよ。もしも他の生徒に見られたりでもしたら、わたしが垂れ流した『不仲説』に矛盾が生じちゃうでしょ……♪」
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黒羽 - はい!!応援しています!でも無理しないでくださいね!!(*´ω`*) (2017年4月26日 22時) (レス) id: c7e72736b7 (このIDを非表示/違反報告)
日向サク(プロフ) - 黒羽さん» おはよう!コメントありがとう、嬉しいです!なかなか夢主の印象を聞く機会が無いので凄く助かるよ!これからもよろしくね!頑張っていくよ〜>* ))))>< (2017年4月26日 6時) (レス) id: 7c85688fc0 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽 - 夢主ちゃんが超かわいいです!これからも楽しみにしてます! (2017年4月26日 6時) (レス) id: c7e72736b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向サク x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 21時