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96話 ページ1

〈翌日〉





「っていう、めんどくさいことになっちゃったからさあ、会長。 今日のプロデュースは何処ぞの『見学者』が来るよ……」


「朔間先輩な。 というか、嬢ちゃん、何やら窶(やつ)れてはおらんかのう?」


「『朔間先輩』こそ。 嬢ちゃんって誰なわけ? ……新しい女⁉」


「おぬしは何の話をしておるんじゃ……疲労が過ぎるわい」と呆れている。 新しいもなにも、おったことないし。 と少しかわいげにむくれている。 一瞬でも、かわいく思えてしまうなんてね。


「あ、いや、まぁ違うならいいんだけど……。 てか、冷静に考えたらどうでもいいことだったし?」


反射的にちろりと顔をあげて、「よくない」と偉ぶって評してくる。 ノリがいいのは見ていて安心するものだけど、それでも、タイミングが合わないのは悲しくなる。 やっぱり、元の相性が悪かったのが要因なのだろうか。


「どうでもいいことはないじゃろうが。 おぬしの愛してやまない『会長さま』じゃぞ?」


ギクッとなる。 周知の事実だろうが、改めて明言されると、恐ろしくなって奇妙な心情になる。 恥ずかしい。 言わないでよ、今さら。


「な、なんなの? ジジイがキモいんだけど。 ……いきなり喰いついてくるよねえ。逆に、私にされると嫌がるくせに」


「第一、『さま』とまで言ってないよ。 ふんっ、言われたいのか? 私に! そんなことを〜!」


「この〜〜!罪男クソジジイ!」と抱き着く。 罵詈雑言を吐き捨てて、それとまた裏腹に強く抱き着いた。 なにかこう、会長を遠く感じたときは、抱き締めたくなる。 今は、殊更。


「ふふ、よぉしよし……。 おじいちゃんじゃからのう、感情の善し悪しも知らん子には『人生の先輩』があまた教えよう。 それが務めじゃ」


「そういうの言わないでぇぇ……」


40、41、42ーーーと充電のパーセンテージが上がっていくにつれて、今先ほど悩んでいた種すら忘れ去ってしまう。 ああ、やっぱり人間って短絡的だ。 単純だし、それでいて楽で助かる。



「まだ齢(よわい)の小さな子ともじゃもの、つまりは普通の高校生と同じじゃ。 頼ってもいいのじゃよ、誰にでも」

97話→



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伊達 政宗 - ヤバい…零さんが、良い先輩過ぎて、なんか泣ける← (2019年10月28日 23時) (レス) id: f7e36ec018 (このIDを非表示/違反報告)
莉莉子(プロフ) - 続編おめでとうございます! とても面白いので続き楽しみにしてます。お体に気をつけて無理せずに更新していただけると嬉しいです (2018年11月3日 23時) (レス) id: 839bccc6ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:日向サク x他1人 | 作成日時:2018年10月27日 19時

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