◇月下美人 終 ページ39
そういえば…
何度も通って出会えなかったのと
仕事が忙しく
行くのをやめてしまっていたけれど
今日の月夜は
あの日和也に出会ったときのような
月夜で
もしかしたら
会えるかも…
なんて
まだ淡い期待を持ってる自分に
苦笑いをして
でもやっぱり少し
いつもと違う
高揚感に
気持ちをのせて
急いで家に帰り
夜釣の準備をしてむかった
.
.
なんでか
今日はあの日のことを鮮明に思い出す…
気持ちが高ぶるのを
月明かりのせいにして
準備をした
釣り竿を海にたらして
真っ暗な海と
たまに月の明かりに反射して揺らめく波
空の境目をみていた
雲一つなく
星も見えて
吸い込まれそうな感じだ
子どもの頃は
これが怖いなぁ
なんて思ったときもあった
「なんだろ…今日はいろいろ思い出すことが多いな…ふふっ」
ゆらゆら
揺れる竿をみて
「はぁ……勢いで来たけど、全然だな…今日は」
竿をあげて
エサを変えようかと思ったとき
「ねぇ…何か釣れるの?」
心臓止まるかと思った…
あのときと
同じように気配はなかった
君の声は
変わらず
俺の心に優しく響く…
聞こえたその声の方を
見上げれば
そこには
俺の…
.
.
月下美人…
.
.
【月下美人 】 −おわり−
【黄花秋桜】へ 続く
月下美人 Epiphyllum oxypetalum
花言葉 「はかない美」「はかない恋」
「あでやかな美人」
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作者名:REN | 作成日時:2020年4月17日 11時