花の言の葉【ars】短編集 1 (ページ24)

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◆ひまわり【999本】①S×A ページ24

俺たちの出会いは不思議だった

というよりは…

覚えていない

むしろ昔の記憶がない俺のそばにいつもいてくれたのが雅紀だった

そしていつも唸るような暑さの夏にそっと飾られていたのがひまわりだった

「年中は難しいでしょ？」

友人？
らしい智くんから
プレゼントされて
寝ている部屋に
いつもコレが飾られている

「雅紀がいつもそばにいるみたいだろ？」

その言葉の意味がわからなかった

雅紀はいつも俺の隣でこのひまわりのようにニコニコと目尻にシワをつけて

『翔ちゃん…』

と呼んでくれているのに…

俺の友人らしい二宮が
いつも夏の季節になるとひまわりを生けにきてくれた

「翔ちゃんと雅紀くんがいつも見に行ってたひまわりの花畑で分けてもらってきたよ？いつも元気でキレイに咲いてたよ…雅紀くんみたいだね？」

雅紀みたいだな
けど
いつも見に行ってた…？
俺は雅紀とどこまでも続く
空の青を仰ぎながら
黄色く輝くひまわりを

そう…
智くんが描いてくれたこの絵のような場所へ

今も毎日見に行ってるよ？

二宮は何を言ってるのかな？

なぁ…雅紀？

「智くんも二宮もここに雅紀がいるのに何を言ってるんだろね？」

俺の問いに雅紀は

『翔ちゃん…』

少し眉を下げ困ったように俺の名前を呼ぶ

俺の友人らしい
松本がきた

「翔さん…体調どう？空気の入れ替えしておくね？」

体調？
すこぶるいいけどね？
松本は何を聞いてるのかな？

さっきだって
雅紀とあのひまわりを見てきたところだよ

「翔さん？今日はすごく天気がいいよ？太陽が雅紀の向日葵を明るく照らしてるよ？」

濃い顔のイケメンが、少し寂しそうな顔をしたから俺は大丈夫だよ？
ここに雅紀がいるよ？

………あれ？

なんだろ？おかしいよな？
みんな…
俺の声が聞こえていないのかな？

なぁ？
雅紀…

『……翔ちゃん、早く目を覚して？』

「何を言ってるんだ？雅紀は今も、ここにいる…それが現実だろ？目を覚ます…？」

『翔ちゃん……あのひまわり畑にきて…』

「いつも一緒に行ってるだろ？」

『………翔ちゃん。あそこで待ってるね？みんな翔ちゃんの目が覚めることを願ってるよ…大丈夫。僕はいつも翔ちゃんのそばにいるから…』

「何…言ってるの？雅紀っ！」

割れるような頭の痛みに俺は…

目を覚した。

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