◆ひまわり【99本】��O×A ページ19
※悲しいお話
俺の愛しい人は病院のベットで眠っている
自分の体の方がしんどいはずなのにそんな風な素振りをみせず出会ったときのように変わらずひまわりのように笑って待っていた
昔から体が悪かった雅紀とそれを知ってても一緒にいたかった俺は無理って言って雅紀の親に許可を得て、郊外に庭付きの家を買って住みはじめた
春夏秋冬を感じ
自然なものを食べ
虫や鳥の音を聞きながら二人で過ごしていた
たまに
いや頻繁に…だな
和也や潤、翔ちゃんたちが遊びにきてくれた
和也は
Wi-Fiないこんなとこでよく生活できるね？
なんて言うくせに頻繁に来てくれるコイツは雅紀の弟だ
兄貴を心配してホントは家に居させたいはずだったのに俺に文句も言わず兄貴のしたいようにすればいいよって言ってくれた、そんな天邪鬼なこいつの優しさに俺は助けられていた
潤は
雅紀と大野さんが作ってる野菜がうまいからまた頂戴ね？
なんて言いながら会いに来てくれる
翔ちゃんは…
俺のことをずっと心配してる
くるたびに
少しずつ痩せていく雅紀をみんな気づいているけど
何も変わらずに接してくれるこいつらに俺は助けられていた
広い庭に二人で野菜なんかを育て
水をやる俺に雅紀は急に
「ね？智ちゃん？」
「うん？体調わりーか？」
「大丈夫。えっとね？あの…ひまわり植えない？」
「ひまわり？」
「うん。智ちゃんがいつも僕のことひまわりみたいで好きだって言ってくれるからさ？それならいっそうここの広い庭にも植えたらどうかな？って…」
少し首を傾げながら
かわいい顔で言うもんだから
「いいな！植えようか！」
優しく微笑みながら雅紀が初めてしたいことを言ったから俺は単純に嬉しかった
「じゃあ種買いに行かないとね！」
種を買って一緒に撒こうと思ったら
「あっ！これは僕が蒔くから智ちゃんそろそら晩御飯じゃない？少しずつ準備しといてよ！」
「え？あぁ…いいのか？手伝うぞ？」
「いいのいいの！俺がしたいから…ねっ？」
このときから雅紀は自分のことをわかっていたんだろうか…
二人で早く大きくなって欲しいね？なんて言いながら水をやっていた
縁側で2人
夕暮れの中、夏がやってくるのを
待っていた
咳がひどく続き
ほとんど食べるのが少なくなってきていた
「早く…智ちゃんとたくさん咲くひまわりみたいな…」
ぼそり呟く雅紀に
「そうだな…」
そっと…その唇にキスをした
.
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作者名：REN | 作成日時：2020年4月17日 11時
