お見合い.2 ページ10
Aの存在にいち早く気づいたのは、番陽だった。甲冑ではなく豪華な着物を着ていてる事から、どこかに尋ねに出掛けたということが分かる。
番陽 「これは！…A様。
ちょうどいい所に」
A「………ッ…グス」
まずい…！と泣いてる所を
見られないように顔を背けて急いで涙を拭く。
すると、番陽を押し退けて控えていた王賁が近づいてきた。
A「……(王賁…くん)」
出来ればこんな情けない姿は見られたくなかった。
必死に泣いた顔を隠そうとするが、
長年一緒にいた彼には何でもお見通しだった。
王賁 「どうした。どこか痛むのか？
怪我でもしたのか？…見せてみろ、A」
いつも自分にも他人にも厳しくて、無愛想。
素直じゃないし、笑うことだって滅多にない。
でも、Aは知っている。
与えられた仕事を誰よりもきっちりこなそうと
たゆまぬ努力をしていること。
誰よりも仲間思いなこと。
厳しく見える言葉の中にも、
嘘がない綺麗な心を持っていること。
そして、Aが弱っている時は、
何も言わず、ずっとそばにいてくれること。
王賁から触れられた部分が、熱を持って熱い。
そのゴツゴツとした手はいつから、こんなに大きくて骨ばって逞しくなったのだろうか。
そんな目で見ていたら、急に恥ずかしくなって
手を払いのけてしまった。
拒否された手に王賁も驚いて、眉を潜める。
だか、諦めずAに語りかけてくる。
王賁 「…A、なぜ泣いているんだ？」
泣いている子どもを慰めるような優しい声。
遠くに行ってしまうようで…
もうずっと今までの関係で
居られなくなってしまうようで怖かった。
A「……な、なんでもないのっ。ごめん…」
情けない。
お見合いくらい彼の出生を思えば当たり前なのに。
名家の幼馴染達は、結婚して世継ぎをもうけるのが戦国の習いだ。…王騎の娘と生きるAも。
ただ、戦でしばらく夢だ、中華統一だ、と
熱くぶつかり合った分、変えられない現実に
向き合いきれてないだけだ。
もう王賁くんの顔を見れない。
勢いに任せて去ってしまおう。
…後から謝ればいい。
そう思って手綱を引こうとする手を、
逃がさないとでも言うように再度掴まれた。
王賁 「待て。まだ話は終わってない」
どうすればいいか分からず、
ついに心の内を話してしまった。
A「お見合い…」
王賁 「…！！」
A「うまくいくといいね…！」
神様、どうかうまく笑えていますように…。
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09kokoa(プロフ) - kwkさん» kwkさん！ありがとうございます！嬉しいです。頑張って更新していきますね！ (2020年10月15日 20時) (
レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
kwk(プロフ) - 楽しくなって夢中になって読んでます。大変やと思いますが…更新楽しみにしています！！頑張って下さい！！ (2020年10月15日 9時) (レス) id: d400d18c11 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - さあやさん» さあやさん、コメントありがとうございます！さあやさんの作品も大好きです〜！ (2020年10月14日 11時) (レス) id: f05c1b9b36 (このIDを非表示/違反報告)
さあや(プロフ) - 王賁ルート待ってましたっ！更新楽しみにしてます〜！！ (2020年10月13日 15時) (レス) id: 523a6006f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：09kokoa | 作成日時：2020年9月13日 23時
