part of your world.4 ページ5
蒙恬は真っ暗な深海に一人落ちていくような感覚だった。
周りの音も聞こえず、ひとりぼっちの世界。
…ただひたすらと暗闇に沈んでいく。
父の声がしたよう気がした。
遠くで雷が落ちたような…音が響く。
自分は結局最後まで、父に愛されることはなかったのかなと感傷的になる。
他の家の子は、父親に肩車してもらったり、頭を撫でてもらったりしていたのが羨ましいかった。
自分が至らないせいと頑張っても、父が振り向いてくれることはなくて……。
その分周りから愛されようと、誰にでも愛想良くしたり、色んな女の子を求めたのかもしれない…。
今思うと、結局俺も子どもだったのかな…。
ーーー瞼が段々と重くなっていく。
このまま寝たら、とっても気持ちよさそう。
なんか、疲れちゃった…
蒙恬はゆっくりと瞼を閉じる。
ふと、その時…脳内に彼女の顔が思い出された。
初めて出会った日…あれから数年の月日が経って、元々美しい娘だったが、
より艶がでて少女から女性に成長していった。
思えばずっと、ずっと…
長い間、自分の隣いた…。
蒙恬が初めて自分から、好きになった娘。
ーーA
愛ばっかり求めていた俺に、愛するってことを教えてくれた人。
負けず嫌いで、一生懸命で、そこら辺の男より肝が座っていて…。
かと思ったら、硝子のように繊細で、いつも自分の事より他人の為に傷ついていた子。
思わず、笑いが口から零れると
ブクブク…と泡になって上に登っていく。
王騎将軍が亡くなった時、後を追おうとした彼女が、この先どうなるか心配だった。
……王賁あたりが、幸せにしてくれるかな……
………そういえば、俺、
Aに好きって言ってから返事もらってない。
それだけが心残りだった…。
「……て…ん…」
俺のこと、どう思ってたんだろう…。
「……恬っ！！」
名前を呼ばれて、目を開けると
そこにはAが両手を伸ばして、俺の手を掴もうとしていた。
「A…っ」
駄目だ……お前はこんな所に来ちゃいけない…
口を開くと泡のようなものが入ってきて、うまく喋れない。それでも不思議と苦しくはなかった。
A「…………恬、愛してる」
そう言って涙を流すAが見えた。
その姿は体を震わせて、今にも消えてしまいそうだった。
…今すぐ抱き締めてあげないと。
…いつも見たいに俺が、Aを守らないと。
…俺が……
そう思ったら、その手を掴み光の方へ必死に泳いだ。
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sora(プロフ) - 蒙恬ルートのことでお尋ねしたく、【蒙恬ルート：嫉妬の在り処】はどちらで読めますでしょうか？ (2021年2月21日 6時) (
レス) id: cf24751ccb (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 蒙恬が好きで読みました！王騎の娘というところが最高でした！蒙恬の話がもっと読みたいです！楽しみにしてます！ (2021年2月16日 2時) (レス) id: cf24751ccb (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - さあやさん» ありがとうございます！さぁやさんの小説も好きで読んでたので嬉しいです！私も更新楽しみにしてます！ (2020年8月21日 23時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
さあや(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！ お体に気をつけて、どうか頑張ってください。応援しています！ (2020年8月21日 21時) (レス) id: 523a6006f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：09kokoa | 作成日時：2020年8月10日 12時
