part of your world.3 ページ4
救援部隊についた時、辺りは怪我人の手当てで大慌なのに対して、蒙恬がいる天幕はシン…と静まり返っていた。
無理な特攻で頑丈だった真紅の鎧も、ボロボロだ。
返り血に塗れたそれを脱ぎ捨て、幾つかの刺し傷から出血しているのも無視して、その天幕まで向かう。
入口には、楽華隊の副長達が並んでおり、皆肩を下ろしていた。ヨロヨロと近づくAに、気づいた何名が声をかける。
胡漸 「A様ッ！なぜここに…ッ！
若の為にまさか持ち場を離れて…ッ！」
陸仙 「…A様ッ」
心配する声を無視して、天幕をめくると
青白い顔の愛しい人が眠っていた。
かすかにだが、息をしている。
それだけで、Aは嗚咽を漏らしてしばらく涙を流した。
A「………恬」
弱い力だが手をぎゅっと握り、名前を呼ぶ。
蒙恬は血の気が引いた顔で、元から白い肌はより色白く、まるで生気がないみたいだった。
肩から胸にかけて、激しく斬られた跡があり、包帯で何枚にも巻かれているが、血が滲みでている。
胡漸 「…A様。
蒙恬様の容体はやっと落ち着いた所です。
あとは、意識が戻るのを願うしかありません。
…A様もお疲れのご様子ですし、ここはしばらく休まれては…」
陸仙 「…若には私たちが付きますので、ご安心を」
A「……だいじょうぶ。
今は…そばを離れたくない」
いつも笑顔を絶やさない明るい彼女が、弱々しく微笑むので、より一層弱っているように感じた。
二人は主君と主君の想い人を、守れなかった苦しさで顔を歪ませる。
Aが優しくて蒙恬の頬を撫で、呟く…
A「…………恬、愛してる」
そう言って、眠る蒙恬に口付けをしたA。
涙が流す彼女は、場違いに神聖で美しかった。
まるでおとぎ話のような光景で、
Aが蒙恬をどれだけ想っているのか、愛しているかを、それを見ている者達は、胸が張り裂けるほど伝わり、同じように声を殺して一同も涙を流した。
その夜からずっとAは、蒙恬の手を離さなかった。
ギュッと握りしめ、髪や頬を撫でたり、名前を呼んだり、蒙恬が好きだと言ってくれた歌を歌った。
天幕の外では、泣きながら自分の命を捧げても、蒙恬だけは生きてほしいと胡漸や陸仙が祈り続けてた。
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sora(プロフ) - 蒙恬ルートのことでお尋ねしたく、【蒙恬ルート：嫉妬の在り処】はどちらで読めますでしょうか？ (2021年2月21日 6時) (
レス) id: cf24751ccb (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 蒙恬が好きで読みました！王騎の娘というところが最高でした！蒙恬の話がもっと読みたいです！楽しみにしてます！ (2021年2月16日 2時) (レス) id: cf24751ccb (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - さあやさん» ありがとうございます！さぁやさんの小説も好きで読んでたので嬉しいです！私も更新楽しみにしてます！ (2020年8月21日 23時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
さあや(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！ お体に気をつけて、どうか頑張ってください。応援しています！ (2020年8月21日 21時) (レス) id: 523a6006f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：09kokoa | 作成日時：2020年8月10日 12時
