わだかまり.2 ページ25
その重い空気の中、一人すくっと立ち上げる者がいた。
A「恬が将軍になれば…問題ないのですね？」
蒙恬「………(Aッ！)」
蒙武の恐ろしい睨みに対しても、臆することなく堂々としているA。
「なんという姫様だ…」と蒙武の側近たちは驚愕するしかないのだった。
ギロッとその瞳が、Aに向けられる。
蒙武 「そうだと言っている。
だが、Aよ…。お前も女であれば若いうちに嫁いだ方がいい。
不出来な息子にいつまでも付き合うことはない…。」
その言葉に、蒙恬が悲しそうな顔をしたのをAは見落とさなかった。
A「…………不出来？
恬は不出来なんかじゃありませんッ！…私なんかよりも立派な人間です！
困っている人がいたら声をかけて助けるし、家族想いで、とっても優しくて、こう見えて、すごい努力家なんです！」
拳を握りしめ、生き荒く声を上げるAに蒙恬以外にもその場の全員が驚いた。
A「将軍こそ、ずっと胡漸さんに子育て任せっきりでちゃんと恬のこと見ていたんですか？！
恬がどれだけ、将軍の背中を追って…
努力してきたか…
知っていますか？！」
主を馬鹿にされたと、側近たちが「小娘ッ！！」と掴みかかろうとするが、
それを蒙武が制した。
A「…少しでも、恬のことを愛しているなら…、認めているなら…、
もっと、言葉で伝えてあげてください…。」
蒙武 「！！」
蒙恬「…ッA」
そこには、大粒の涙を流しているAがいた。
それでも瞳は力を失わず、その強さは蒙武の心に刺さった。
あの蒙武相手に臆せず、言いたいことを言い切った者が今まで居ただろうか…。
この親子の亀裂は今に始まったものではなく、側近たちも家臣たちも触れないように、見て見ぬふりを続けてきた。それなのに、この少女は、涙ながらに必死に親子の絆を繋ぎ止めようとしている。
それはこの場にいる誰もが心打たれ、涙を流す者もいた。
押し黙ってしまった蒙武にかわり、
蒙恬が同じように立ち上がって
Aの手を取り、その涙を拭う。
蒙恬 「……A、俺のために…ありがとう。」
微笑んだ顔には、一切の迷いがなかった。
蒙恬 「父上！
…俺はAと結婚を認めてもらう為に、必ずや将軍になってみせます。」
そう言って礼をし、手を取り合って出口まで向かおうとする。
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sora(プロフ) - 蒙恬ルートのことでお尋ねしたく、【蒙恬ルート：嫉妬の在り処】はどちらで読めますでしょうか？ (2021年2月21日 6時) (
レス) id: cf24751ccb (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 蒙恬が好きで読みました！王騎の娘というところが最高でした！蒙恬の話がもっと読みたいです！楽しみにしてます！ (2021年2月16日 2時) (レス) id: cf24751ccb (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - さあやさん» ありがとうございます！さぁやさんの小説も好きで読んでたので嬉しいです！私も更新楽しみにしてます！ (2020年8月21日 23時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
さあや(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます！ お体に気をつけて、どうか頑張ってください。応援しています！ (2020年8月21日 21時) (レス) id: 523a6006f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：09kokoa | 作成日時：2020年8月10日 12時
