ボロボロの部屋 ページ10
ー逃亡者視点ー
エミリー先生が体調を崩したレズニックさんの様子を見に行くと言ったのでレズニックさんの部屋の前で別れ、私は部屋で安静にしていなければならない。
《はぁ〜意識した緊張からの咳なんか言えないよぉ〜》
まだ痛む背中を摩って自分の部屋に入る。
『…ぇ???』
小さく掠れた声で呟いた。頬を熱いものが伝うのが分かる。昔の頃の荒れた家と重なる部屋
『嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ!助けて!お願い誰か!』
私は部屋の入口で座り込む。犬のように唸る。必死に我慢をする。不意に目に入ったのは割られた指輪。
耐えられなかった。恐怖が私を襲う。
いつもは少年を思い出そうと必死に指輪を握ってやり過ごしていたのに……その指輪さえも無くなったの
だ。
私はそこで意識を失った。
「あんたなんか居なくなればいいのよ!」
「気持ちわる〜あっちに行ってよ!」
「出てけ!帰ってくんな!」
私に向けられる怒号と刃物と蔑んだ目。
もう嫌だ……助けて……
「大丈夫?元気出して!」
「僕が絶対幸せにする!」
「この子をいじめるな…触るな!」
「これ、プレゼント!」
あぁ、この子だ…私を抱きしめてくれる子
柔らかい髪がくすぐったいな…
゛茶色゛の髪がくすぐったい…
「…さん!Aさん!」
『あ…れ……?』
私はボロボロの部屋を見回す。どうやら私はベッドにいるらしい。
『あ、クラークさん…』
クラーク「大丈夫かな?泣いてたけど…」
『あぁ……ごめんなさい』
そう言って体を起こそうとすると…
クラーク「まだ安静にしておいた方がいいよ、エミリー先生も言ってたからね」
と、止められた。
『でも、指輪を取りたくて……』
クラーク「指輪……はい、どうぞ」
クラークさんは私の手に指輪を乗っける。
『ありがとうございます……』
バラバラの指輪、ヒビが入った指輪、傷だらけの指輪、少年からプレゼントで貰った物だと思う度に泣きそうになる。
クラーク「…いいよ、泣いて」
優しく言われた。泣いていいと言われた。涙が抑えきれなかった。私は小さい頃のように泣きじゃくった。
最終的にはクラークさんにしがみついて泣いていた。
クラークさんは優しく抱きしめてくれた。安心する。
それから暫くして涙が枯れ、落ち着いた。
『ごめんなさい…服、涙で汚れてしまって…』
クラーク「大丈夫だよ、僕も承知の上で抱きしめてたからね…なんで泣いていたんだい?聞いてもいいかな?」
その言葉に私は肯定の言葉を返した。
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うにゅり(プロフ) - アヤメさん» ( ゚∀ ゚)ハッ!楽しんでいただけたようで嬉しいです(* ´ ˘ ` *)私もトレイシーちゃん好きなので登場回数多くなってます!笑。もっと楽しんでいただけるように頑張って小説書きます(´˘`*) (2020年2月3日 9時) (レス) id: 5690c237c8 (このIDを非表示/違反報告)
アヤメ - 面白いですね!自分の推しキャラの一人(トレイシーさん)がたくさん出てるのでこれからの展開が楽しみです!(*'▽'*) (2020年2月2日 17時) (レス) id: 43c78709a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うにゅり | 作成日時:2020年1月3日 13時