裏マネの業務。2 **

66.閑話休題ー赤葦side ページ16

、



＊1年前の2人


ーーーー









「1年の逸見Aです。よろしくお願いします」







俺と同じ学年のマネージャーは、不審者極まっていた



他の2年、3年は怖がっていたけど俺は別に怖いわけでも何でもなく。











「同じ学年同士、よろしく。」


「…よろしく」










選手とサポーターとして下手にこじれなければ良いか、という程度だった



そんな俺とは違って感情が素直な2年生達は











「あかーし！Aにこれ渡しといて！」


「あ、赤葦！お前盾になってくんね？」


「…………怯えすぎですよ」


「「んな事ねーよ！！」」









・








「…逸見。木兎さんが点数表返すって」


「……どうも」


「その格好、もう少しどうにか出来ない？」


「出来ない」









……即答か。



まぁダメ元だったから良いけどな。










「…何でその格好、してるの？」


「……どうでもいいでしょ」


「……。」










その格好を改めてくれれば俺の負担は減るだろうけど、逸見の態度的に絶望的だな。




面倒な状況が変わらないのを理解して溜息を吐き、逸見から離れる直前












「…この姿だと人が寄って来ないでしょ」


「え？…ああ、そうだな」


「人を追い払えるし楽なの。」









……楽。









「有害人物をこの姿なら追い払えるから。」


「有害…人物？追い払うって何？」










俺の一般的な問いに初めて逸見の分厚いレンズの奥の瞳が笑った気がした



良い意味じゃなく、呆れた様な嘲笑う様な、はたまた子供をあしらう様な視線。










「…赤葦には、きっと理解できないよ」










その言葉すら意味が掴めない気がした。











「……赤葦は何で怖がらないの」



「いや…怖くないから」











逸見が嫌そうに眉を顰めた


マスクの下に入り込んだ逸見の横髪を指で払うと、身構えられる。…お前は猫か。




その姿にもフッ、と自然と笑えて













「怖くはないよ。…けど、」


「……けど？」


「興味はあるかもな」














その隠れた顔の表情とか、全部が興味あった



最も、










「…新手の罰ゲーム…？」


「………告白じゃないから。」










1年後どんどんAにハマる事は想定外だったけど。

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