少女の紡ぐ｛千一夜物語｝〜第１章〜

第五夜 ページ7

異能力者がいるとの報告を受け、青年____ポートマフィア幹部である太宰治が森の中に走り込む



しばらく走り、少し開けたところに出ると、異能力者の少年がポートマフィアの部下と戦っていた



異能を発動する少年を部下が取り囲み、銃を乱射している



少年は必死に異能で応戦する




((やはりこの少年は手に入れたいな……))



太宰は腕を組んで切り株に腰掛けた



だが残念なことに少年はついに血を吐き、倒れてしまった



太宰はため息をつき、その少年を連れて帰ろうと立ち上がったが



「龍兄っ！」



そう叫ぶ少女の声が聞こえたため、振り向く



((さっきは居なかったはずだが……気づかなかっただけか？))



太宰は首を傾げたが、



((いや、確かに先ほどまであの少女はいなかった))



と結論付けた



((では何処から……？))




周囲は部下が囲っているはずで、誰1人入れるなと命令している



((あの少女は何処から入ってきた……))



と太宰は少女を見つめる



襤褸を纏いながらも凛としている彼女の目は漆黒で、髪は炎を受けて銀色に煌めいていた



((それにしても美しいな……))



太宰はそう密かに感嘆のため息をつく



その少女に銃を向ける部下たち



だがそこまで警戒しなくても良いと判断したのか、ほとんど全員が銃を降ろした



だが少女は



「ふざ、けるな……」



と呟き、目を紅く染め上げていく



そして異能のしるしである光る文字の羅列が少女を包みこんだ



((この子も異能力者か……！？))



太宰は目を見張った



そして太宰が一瞬驚いているうちに少女が



《消えた》




((私は一瞬しか気を緩めていないはず……どこへ行った！？))



太宰が慌てて辺りを見渡すとそこには……



「死ねぇぇぇぇええっ」



と長い黒い刃を掴んだ右手を部下たちに振りかざす少女がいた



太宰がそんなものでは殺せない。と思った瞬間



驚くべきことに、少女の非力を感じさせないほど軽々と部下たちの首が飛んだ



そして触れていないはずなのにその刃の直線上にある木々が真っ二つに切断されていた



((これは……空間ごと切断されている！？))



部下たちに目もくれず少年に駆け寄っていく少女を太宰は驚きの眼差しで見つめた

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