少女の紡ぐ｛千一夜物語｝〜第１章〜

第二十二夜 ページ24

Aが棒を見てみると突っ込んでいた部分が綺麗さっぱり消えて、代わりに中原の上から棒が降ってきた



「流石空間を切るだけあって切れ味なんて次元を超えてるな」



苦笑しながら落ちてきた枝を見つめる中原



その断面は潰れることなく綺麗に切断されていた



「腕でしなくて良かったですね」



Aが笑うと、洒落になんねぇことになるとこだった……と中原は冷や汗を流した



「こういう使い方もできるということならトラップとして役立ちそうですね」



ふんふん頷きながら他に応用出来ないか考える2人



しばらくすると中原が



「自分で亜空間みてぇなヤツって作れねぇの？」



と言った



「その手がありましたか……」



と呟き熟考するA



やがて



「出来るかわからないんですけど、亜空間作ってみて人が入れるかどうか実験しましょう！」



と言った



中原は賛成し、Aは再び集中モードに



だが



「駄目ですね……」



しばらくしてAはそう床にへたりこんだ



しかしAがはぁ……とため息をついた瞬間中原が気づく



「さっきまで持ってた羽どうした？」



そう、Aは何か助けになるかと例の烏の羽を持っていたのだ



だが……



「ない……？」



右手に握りしめていたはずの羽がない



それを見てふと思いつくA



「もしかして対象に触れながら念じないとだめな感じですかね……」



そう呟き、ちらっと中原を見る



「……俺が実験台か」



そう諦めたように中原が笑うと



「いえ、一応自分にも触れながらやります。自分が行けるかはわかりませんが」



とAは笑い返した



そしてスタスタと中原の元へ歩いていき肩に手を乗せた



そして集中するためそっと目を閉じる



中原が時折動くAの長い睫毛をじっと見ていると




「「_____……っ！？」」



突然2人の体を激痛が襲った

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