○第廿伍話 ページ26
十分ほど後インターホンが鳴った
「父さん、出て。私の客だから私の部屋に上げて」
父はどうしたお前モテ期か?と笑いながら階段を降りて行った
「いらっしゃい。Aの部屋は二階の突き当たりだ」
下でそう声が聞こえる
「あぁ、ご丁寧にありがとうございます。お邪魔します」
一応礼儀はなっているのだろう
中原さんがそういう声が聞こえた後、階段の軋む音がし部屋のドアが開いた
「はっ、無様に寝てんじゃねぇか。何だ風邪か?」
開口一番からムカつく言葉である
札を飛ばして結界でぶん殴ってやろうかと思ったが思い留まる
口元は冷笑を浮かべているが目は心配そうな色だった
「ちょっと依頼で火傷負っちゃいましてね。学校休んでるんですよ。そこかけて下さい」
私は先程まで父が座っていた椅子を指差す
中原さんが腰掛けて切り出す
「で、首の怪我大丈夫か」
私はそう聞かれたことに少し驚いた
この人の性格なら自分の失態として忘れようとする気がしたからだ
案外それは偏見というもので、根は優しくて真面目なのかもしれない
「えぇ、あの薬のおかげで一瞬で治りましたよ。それにしても何なんですかあの薬。蓋した瞬間消えたのには流石の私も驚きましたよ」
その言葉に中原さんはふいっと目を背けた
「…折角作らせたのにあのムカつく太宰の野郎なんかに使われたら嫌だったから一度使ったら消えるようにしといた」
心なしかその頬が赤い
私はそれをじっと見つめた後ふっと笑った
「それはそれは。私がそんなに優しそうに見えます?」
「あ"ぁ?普通に優しそうに見えるだろ」
私は睨みながら言われたその言葉に驚いた
中原さんも自分で言っておいて何故か驚いて気まずそうに顔を背けた
自分で言うのもなんだが私は割と冷たそうな容姿をしていると思う
血色の悪い肌、眼の下に浮かんだ薄い隈、目つきの悪い目
この何処が優しそうに見えるのだろうか
「……で、何の用ですか」
私はなんとなく少し気恥ずかしくなり話題を変える
「……忘れた」
おっと
予想の斜め上の回答を食らった
「…あははっ」
思わず笑ってしまった
「何ですかそれ、あなた馬鹿ですか」
そう言うと中原さんはうっせぇよ!!と私をしばいた
その力は心なしか優しかった
でも普通に痛かった
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作者名:信乃☆ | 作成日時:2016年12月9日 23時