【srr】ふっわふわ③ (ページ7)

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１０４話ページ7

貴方視点
『んーっ！帰ってきたー！』

「うん、お疲れ様。」

思いっきり体を伸ばして、小さく息をついた。

「あ、それと、優勝おめでとう。A。」

ふわ、と彼方が微笑み、頭を撫でてくれる。

そんな彼方を見て、私もつい笑ってしまうのだった。

彼方視点
「Aー…っと。」

慌てて自らの口元を塞ぐ。

『す…ぅ…』

………珍しい。

Aがソファーで寝落ちしていた。

…疲れたんだな。

柔らかい髪を撫でると、Aが気持ち良さそうに微笑む。

「…かわいい。」

起こさないような声量で、ぽつりと呟いた。

今までAには、安全地帯がなかった。

外にいたって、いつどんな敵に襲われるかわからないし。

…あっちの家にいたって、いつ玲央が帰ってくるかわからないんだ。

ここが、Aにとって唯一の安全地帯になっているのなら…。

これほど嬉しいことはない。

だから俺はそれを守るだけ。

Aが、毎日ぐっすり眠れるように。

…さて、流石にここで寝かす訳にはいかないし、移動させるか。

………えっと…。

こういうとき、男性はスマートにお姫様抱っこでもしてベッドに連れていくものなのだろうか…。

あ、いや変な意味はなくて、普通に！寝させるだけ！

…問題は、他にあるんだ。

俺は…あんまり運動はしないほうだし、筋肉量も少ない方だろう。

Aは鍛えてるし、その…失礼極まりないけど、体重も軽い方では無いだろう。

…どうしよう、いける…？

そっと、Aの肩と膝の下に手を忍ばせる。

「…っ！」

あ、あれ…？？

思ってたより重くはない…？

いや…基準がわからないからどうとも言えないけど…。

…一回、まふをお姫様抱っこしてみるか。

俺はゆっくり、Aを起こさないように寝室へ向かった。

Aを隣に寝させて、俺は一息ついた。

「…鍛えなきゃな。」

Aくらいだったら、楽々運べるように。

ちら、と横を見ると、Aが純粋そうな顔で寝ていた。

…あー、だめだ。ずっと見てたら欲しがりになる。

俺も、寝よう。

「おやすみ。」

俺はゆっくりと目を閉じた。