１２７話 ページ31
貴方視点
「あれ？先輩にそらるさん？偶然ですね！」
空き地の前を通ったらしい真冬がこちらに駆け寄ってくる。
さっき感じた違和感はひとまず置いといて、久しぶりに真冬と会えたことに喜ぶ。
『久しぶり、真冬。結婚式以来かな？』
「まぁ俺はしょっちゅう会ってるけどな。」
なんだそのマウントは。
…ん？
『真冬、身長伸びた？』
しばしの沈黙。
それを破ったのは彼方だった。
「ふっ、ふふふ…この歳にもなって身長伸びるんけないでしょ。」
えー、でもなぁ…？
なんか、真冬の顔見たときに首が痛いような…。
「あははっ、さすがにもう成長しませんよ！」
ふと、彼方が怪訝な顔をした。
「…A、なんか…若返ってない？」
肌のことだろうか。
『…え、ありがとう？』
「ばか、ちげーよ。…身長、縮んでない？」
いやいやさすがにこの歳で縮んだらマズいでしょ。
それでも彼方の表情は固いままだった。
「うーん、確かにちょっと低くなってるような…？」
『えぇ、真冬まで…。』
冗談で言ってる訳じゃないのはわかる。
でもそれは…あり得ないだろう？
普通の人間ならば。
「…ふふっ。」
小さな笑い声が聞こえた。
辺りを見回しても、ここには彼方と真冬しか居ない。
…嫌な予感がする。
『…うん。まぁ気にしておくよ。』
そう言って笑って、私達は帰路についた。
？？？視点
男は笑う。
もうすぐだ。
もうすぐ、俺は真の解放を迎える。
呪縛から、ようやく解放されるんだ。
長かった。本当に、長かった。
何千年待っただろう。
ようやく見つけた、俺の鍵。
絶対に、貴様を＿＿＿＿＿。
男は笑う。
自らの勝利を確信し、唇を歪める。
「…今度は、俺の勝ちだろ？“姫君”」
男は笑う。
空っぽな心を抱えたまま、男はただただ笑っていた。
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作者名：まき | 作成日時：2022年9月22日 22時
