１２５話 ページ29
ナツ視点
「まっっっじで！心配した！！！」
「トラックにひかれたんでしょ？もう体は大丈夫？」
などなど。
退院して初めての登校日、あたしは質問攻めにあっていた。
「うんっ！もうすっかり元気だよ！」
あたしは笑ってみせた。
皆が心配してくれている、その事実が嬉しくて。
「ナツ、無理はしちゃだめだよ。」
そう言って笑うフユはとても嬉しそう。
「はーいっ！」
それにつられて、やっぱり私も笑ってしまうんだ。
そして、昼休み。
フユとお弁当を食べ終えたあと、会長さんから話をしたいと言われた。
私は頷いて、フユも少し悩んだ後、頷いてくれた。
「まずは…ごめんなさい。」
会長さんは深々と頭を下げた。
「あんなことを言ったのに、貴方は身を挺して庇ってくれた。」
会長さんの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「頭上げて？…あたしは怒ってないよ！あたし、体だけは丈夫だし！」
事実、そうなのだ。
一般人とあたし達ボディーガードは違う。
そう簡単に、ボディーガードは死なない。
でも、あたしはそんなことより…。
「でも…ね…。フユのことだけは、渡せない。」
「！」
会長さんは弾かれたように顔を上げる。
そしてすぐに苦笑を浮かべた。
「もう、いいのよ。フユくんのことは。」
…あれ、前まであんなにゴシュウシン？だったのに…。
「わかったのよ。フユくんには貴方がいないとだめなの。」
「そっか、…。そっかぁ…！！！」
口元がニヤついてしまう。
そぉーかそぉーか！フユはあたしがいないとだめなのかぁ！
そして会長さんはもう一度頭を下げて、去っていった。
…明日から…ううん。
いつか、会長さんとも友達になれたらいいな。
〜ナツが入院中の間〜
「フユくん！？それ教科書逆さま…！」
「フユーー！！！？フライパン！！火ーーーー！！！」
いつも完璧なフユが失敗続きだった。
しかも、そのフユの発言がやばかった。
「あぁ…ナツに会いたい…。ナツが足りない…。」
こんなのまだ序の口だ。
「ナツ…愛してる…。抱きしめたい、キスしたい…！」
その発言を聞いたクラスメイトは一瞬で理解した。
ナツとフユはたぶん…いや、絶対そういう関係だと…！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まき | 作成日時：2022年9月22日 22時
