【srr】ふっわふわ③ (ページ16)

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１１２話ページ16

貴方視点
さてさてさてさて？？？？

ここはー、看護師である私の出番かなー？？？

…いや、看護師としては良くないのか？この行為。

上司になんとか頼み込んでナツの世話係となった。

その理由は、ナツと二人っきりになるため。

いくら病院とはいえ、ナツの容体は不安定なままだ。

監視カメラの死角は把握している。

…まぁ、看護師をクビになったとしても構わない。

別の職を見つけるさ。

フユ視点

ナツ、大丈夫かな…。

やっぱり、一緒に帰るべきだった？

離れるべきじゃなかった？

油断をしたら涙が溢れそうだった。

「フーユ！」

明るい、ハル兄さんの声が聞こえた。

「えいっ」

「んぐっ！？んえ゛、ぐっ…げほっ、かっら！？」

な、なんだこの辛さ！！！

「…アキの大根おろし、恐るべし。」

同情しているのか、ハル兄さんは俺の背中をさすった。

あの一口でこの辛さ…？？

大根ってこんなに辛くなるものなのか…。

「夜ご飯だよ〜、いくら呼んでも気付かないから最終手段に出ちゃった☆」

清々しいほどの笑顔でハル兄さんは言った。

…ハル兄さんなりの、慰めだろうか。

「んははっ」

だとしたら、なんて不器用なんだろう。

でも、それが…。

結構、嬉しかったりする。

ナツ視点

暗くて、寒くて、これ以上は進めない。

確かに、あるのに。

もっと進んだ先、温かい、光が。

手も足もかじかんで、動けない。

早くあの光に追いつかなきゃ。

それは分かってる。

追いつかなきゃ、大変なことになる。

…分かってる。

それでも、痛いんだ。

感覚は無いけど、あたしは倒れ込んだ。

あたしは、頑張ったんだ。

だから、もう…。

『ナツ。』

柔らかくて、温かい声が聞こえた。

ずっと先にあった光と同じ。

「A…お姉ちゃん…？」

冷たくて動かなかった手足に、熱が戻る。

体に力を入れて、立ち上がった。

Aお姉ちゃんは笑って、あたしを抱きしめた。

あ、この匂い…。

優しくて、爽やかな…桜の香り…。

『おかえり、ナツ。』

「…あ。」

眩しい。それでもあたしは状況を把握したくて目を開けた。

そこには優しく、強気に微笑むAお姉ちゃんがいたんだ。