【srr】ふっわふわ③ (ページ2)

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９９話ページ2

彼方視点
「あ、Aいた。」

「えっ、見つけるの早いですね！？」

そりゃそうだろ。妻なんだから。

「Aお姉ちゃん頑張れーっ！」

「翔太さんも頑張れっ！」

…あ、Aこっち向いた。

そうして笑顔でピースをして見せた。

え、この距離で聞こえたのか？

天月の肩も叩いて俺らの存在を知らせた。

天月もこっちを向いて、ひらひらと手を振った。

…天月は気づいてなかったらしい。

まぁそりゃそうか。

これだけ離れてるもんな。

「お、そろそろスタートするねぇ」

わくわくした様子でハルが身を乗り出した。

「ハル、はしゃぎ過ぎですよ。」

…そういうアキも目が輝いてる気がするんだよなぁ。

もしかしてボディーガードの人って体育祭とか、経験したことないのかな。

だとしたら、これだけ目がキラキラしてるのも頷ける。

まぁ、Aの勇姿だけでも見ときますか。

ﾊﾟｧﾝｯｯ

合図が鳴って、一番に飛び出したのはAだった。

…あれ、でも速さ的にはみんなと同じくらい？

200メートルだし、体力温存してんのかな。

皆が少しずつ体力を消耗して、スピードが落ちてくる。

でも、Aはずっと同じスピードだった。

すごいな。

ゴールテープを切ったのは、Aだった。

貴方視点
『ふぅ…』

…うん、楽しかった！！

「…っ、A、はや…。」

「まじか…運動神経抜群やん…」

息絶え絶えな二人が驚いたような顔を見せる。

…そんな意外？

『次は…えっと…』

なんだっけ。

「障害物競走やな。Aさんは連続やけど…大丈夫か？」

『大丈夫ですよ。いってきます。』

連続と言っても、私が走るのは最後の方だし。

どうにかなりそうだ。

ハードル、前転、平均台、跳び箱…くらいか。

ジジ、と何かの機械音が聞こえた。

《…実況の峰岡です。次は障害物競走です。選手の皆さん、頑張って下さい。》

ほぉ、峰岡さん。

…誰だっけ。

ていうか、200メートル走の時は実況なんてなかったよね。

なんだろう。寝坊でもしたんだろうか。

…あ、次私の番だ。