第３１話 ページ10
少しすると、おばさんが戻ってきた
「あら、瑠伊ちゃんどうしたの？」
「荷物をまとめるの終わったので、今着替えてるんです」
「あぁ、そうなのね。まだ居てくれてて良かったわ」
「私に何か用でもありましたか？」
「まぁ、用事というか…これ貰ってくれるかしら？」
「え？」
おばさんは私に小さなレジ袋を差し出す
レジ袋の中には、紙パックに入ったぶどうジュースと小さなお菓子の袋が2種類、それとキーホルダーサイズの猫のぬいぐるみが入っていた
「あ、あの…どうしてこれを…？」
「私からのお礼よ。忙しいのに何度もお見舞いに来てくれたでしょう？」
「だ、大丈夫ですよ。私が心配で来てただけなので…それにぬいぐるみまで…」
「いいのよ、猫の方は余った布で作ったものだから。売り物には出せないし、むしろ、貰ってくれると嬉しいわ。気に入ってもらえるか分からないけれど」
「そんな、すごく可愛いです！…その、そういうことでしたら、ありがたく頂きます。ありがとうございます！」
「ふふ、こちらこそありがとう。これからもあの子と仲良くしてちょうだいね」
「はい！」
そう私が返事をした直後、病室の扉がガラガラと音を立てて開く
「戻ってたのかよ。終わったぞ」
「そう。それじゃあ、帰りましょうか」
そして、下の階まで降りていく
「それじゃあ、私はこれで失礼します」
「瑠伊ちゃん、また遊びに来てちょうだいね」
「はい、ありがとうございます。またね、完二君」
「おう、またな」
完二君とおばさんに別れを告げ、一足先に帰りのバスに乗って家路に着く
家に着いた頃には日はすっかり落ちて暗くなってきていた
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作者名：ﾎﾉﾉさん | 作成日時：2020年3月26日 15時
