【本編】レイスの使者 (ページ17)

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16話【アイザック】ページ17

「えーと？なんですか？」
いつもならこんなこと、絶対にしないのに。

結局、どんどん入ってくる人達に嫌気がさして俺が寝たあの後、あの後は騒がしい声で起きてしまった。
寝る前もこんなことを思った気がするが、本当に別の場所にすりゃよかった。
寝てる間にも人が増えてる。

どうでもよかった。
ただ、あの騒がしい中でまた寝るなんてことできそうになかったから、せめて余韻に浸ろうとソファに寝っ転がり続けた。
あくびをして自然に溜まってしまう涙を振り払うように、勢いよく体を起こした。当然余韻なんてものは騒がしいせいでとっくのとうになくなっている。

視界の端っこに、こげ茶が移った。

人間嫌いなはずの俺が興味を持ったのは、ソイツが武器(弓矢)を持ち、手入れをしていたからだろうか。
別に理由なんざどーでもいいんだけど。

後ろから肩をつつくと振り返りはしたが、瞳に苛立ちが込められている気がする。
自分から誰かに話しかける、というのは久しぶりだった。さっき、ジョセフに悪態をついたのはただの"一方的"であり、ジョセフが俺の名前を聞いてきたのも、エド……なんとかが俺に話しかけてきたのも"一方的"で、会話をしようと思ったわけではなかった。

「……お前の名前は？」

「……ウォルンタース・セリスィ。さっきの聞いてなかったのか？」

「俺寝てたし」

「てか、お前の方こそ名前は？」

「……アイザック・キャンベル」

そんな会話をしたの次の日、騒々しくて朝早くから起きてしまった。

騒々しい、というのは、ジョセフと女の声。俺の睡眠が元々浅かったのもあるだろうが、女が驚いて叫んだり

当たり前のように意識が浮上してしまう。
昨日も同じことがあった。やっぱ人は嫌いだ。

体を起こしてもよかったが絶対そのどっちかが話しかけてくることは目に見えていたのでどうせなら黙っていよう、と
ソファの上で目を瞑っていた。

が、しかし。

「皆さん、起きてください！！ゾンビです！！」

結局俺は眠れないのか……あれ、
アイツ今、ゾンビっつった？

結局ナイフは1本しか使わなかった。が、楽しかったのは事実。

「皆さんで旅をしませんか？ゾンビを無くすために、協力して！」

「……俺はさんせー。ゾンビ殺せるんだろ？どんなデメリットがあっても崩れない、完璧なメリットじゃん」

ゾンビ、
人とは違って殺してもデメリットがない存在だもんなぁ…？