第一話 忘却の異能 ページ25
皆様、御機嫌よう。
私は先日滝から落ちて、異能により年齢を変えて歩いたら中也に見つかり、そのまま武装探偵社に向かったら綾辻先生にも見つかった私だ。
今はいつもの通り、事件の依頼を解決しに来たのだが………
「此奴がどうなってもいいのか!!」
私は綾辻先生により暴かれた犯人によって、銃を向けられていた。
犯人とは、手を伸ばせば届きそうな距離だ。
『落ち着け。どうせこの後の展開は判るだろう。』
「俺はまだ死にたくない!」
犯人は叫ぶ。猶予は少ししかない。
この至近距離だと、病死でもない限り私は綾辻先生の巻き込まれる。
……今回の犯人は説明をする迄もなく、殺人事件の犯人だ。どうやら忘却の異能を持っているらしいが、触れない限り発動しないらしい。
『だから人質として私を選ぶのもどうかと思うが。』
「黙れ!撃つぞ。」
綾辻先生はどうでもいいと云うかのようにその展開を見守っている。
『あの、綾辻先生?私だって痛いの嫌なんだが?』
君死給勿を私が持っているから、巻き込まれても無事だと判断したらしい。多少彼女とは話した事があるくらいで効果が薄いと云うのに、何て無情な……。そう思うと溜息を吐いた。
……そろそろか。
上がギシギシと鳴る。
─────嗚呼、最悪じゃないか。
『痛いのは嫌だって云っただろう。』
「俺がどうする事も出来ないのは知っている筈だが?」
やれやれ、と綾辻先生は溜息を吐く。溜息を吐きたいのは此方だが??私は珍しくイラついていた。
「……こうなったら、お前も巻き込んでやる。」
犯人は私に銃を押し当てる。
銃を撃つと私は即死になる、確かに生き返る事が出来ないが……。
どうやら目的はそうじゃないらしい。
異能力独特の文字が見える。
『真逆、その異能が間接的にも発動するとは。』
そう云った瞬間、男は天井に押し潰された。
私はギリギリのところで押し潰されなかったらしい。一体何を忘れたんだろうか、そう思って綾辻先生を見る。
「……そうか。忘却の異能か。」
───かつて、こんなに嫌な予感がする事があっただろうか?
私は次の言葉を予測する事が出来た。心底、聞きたくない。この予測が外れてくれと思った。
嗚呼、冷や汗が止まらない。
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