第九十話 日記 ページ3
次のページになると日付が1週間も空いていた。
【「凡ミスで満点を逃した。どうして何時も簡単なことすら出来ないんだ。お母さんの言う通りだ。」】
次の日。
【「お父さんが亡くなってからお母さんは変わってしまった。最初は良い家族だったはずなのに。」
「違う。俺がお母さんの気持ちに応えられないからだ。次は絶対全教科満点にする。計算間違えさえ無くせば。」】
3日後
【「体調が何だか朝から優れない。最悪だ。今日はテストがあるのに。」
「駄目だったごめんなさい。期待に応えられなかった。2回連続満点を逃すなんて初めてだ。お母さんにはご飯抜きと言われた。今回は何日だろう。」】
1週間後
【「紛い物の俺はどうやっても無理なんだ。」】
1ヶ月後
【「学校の帰り、路地裏で男の人がいた。」
「あれはマフィアだ。見間違うはずが無い。」
「人を殺しているところを見てしまった。こっちの存在がバレたかもしれない。どうしよう。」】
次の日
【「帰り、学校の校門の先、死角になる木の下で待ち伏せされていた。」
「何とか殺されずに済んだ。だが、ランドセルに入っている何時も持ち歩いている参考書を見られた。最悪だ。目をつけられた。」】
次の日
【「異能力の存在を教えてもらった。この世には様々な異能力を使う人がいるって。知ってるよ。そんなこと。」】
5日後
【「遂にマフィアの加入を勧められた。俺は丁重に断った。でも、あの人は直ぐに諦める人では無い。どうにかして回避しないと。」】
次の日
【「お母さんにバレた。遂に。何時もは夜中に帰ってくるのに今日は早かった。学校の帰りが遅いことを、その時間勉強していないことがバレた。」
「俺の世界の中心は母親なんだって思った。」】
次の日
【「何時もの場所に行かなかった。あの路地裏を通らない道で歩いた。ごめんなさい。俺はお母さんを置いていけない。」】
2ヶ月後
【「もうあの人とは会わなくなった。それなのに気づいてしまった。気づくのが遅かった。異能は俺にもあった。」
「これを使えば、お母さんは俺を愛してくれる？」
「…止めた。それは本心じゃ無い。」】
3日後
【「閉じ込められた。鍵が開かない。もう駄目だよ、やっぱり、これを使うしか無いんだ。」】
ここで日記は途切れている。
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