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第八十八話 豪邸 ページ1





私たちは一軒家に向かった。



その家は母親と息子の二人暮らしの筈なのに広く、まさに豪邸。

今も誰か住んでいると誤解するほど生活感があり、事故物件とは思えないほどそれは高級住宅地に馴染んでいた。





私、辻村深月が先頭にその家の鍵を開ける。



中に入ると、清掃には来ているらしく綺麗な状態のまま残されていた。

リビングへ向かうと圧倒的存在感がある物が目に入る。




いくら清掃しても消えなかったのだろう。それは床に染み付いていた。







Aさんはそれをじっと見つめる。



その瞳は綺麗だが、赤黒い色の反射が写っていた。







「……母親は正面から包丁でお腹に一突きだった様です。」




私は綾辻先生とAさんに遺体の写真を見せた。



『……動機は?』



「不明です。父親は既に亡くなっていて、母親も近隣住民に聞いても大して人柄が分かりませんでした。」


「母方の親族に伺っても恨まれる性格では無い、その為心当たりが無いと。」




「ふむ。」



先生はそう言うと廊下を出る扉を開けた。




「どこ行くんです?」



「加害者と思われる息子の部屋だ。」




答えを言うと直ぐにスタスタと歩き出してしまった。
何時も先生はこうだ……と思いながらその後ろを着いて行く。




Aさんもそれに気づき、ハッと顔を上げてパタパタと後ろを着いて来た。










加害者の部屋は、外から鍵が閉められる様になっていた。中に入ると内側から鍵を開閉出来ないことに気がついた。


中を見ると、壁は本により埋め尽くされていた。

クローゼットがある、机がある、ランドセルもある。







逆に言えばそれ以外の物は無かった。




事件当時の息子の年齢は小学四年生らしいが、到底その様に見えないほど置かれている参考書は困難だった。




上げればキリが無いほど本が積まれている。





文学、言語学、数学、歴史学、地学、化学、物理学、天文学、生物学、哲学、心理学、統計学、デザイン学、鉱物学、工学、農学、医学、薬学、政治学、ゾロアスター教学





ゾロアスター教学……???




聞いたことが無い言葉に2度見し、思わずその本を手に取り、表紙を見た。








「ゾロアスター教とは歴史上最古の宗教だ。」

第八十九話 鉛筆→



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト外伝 , 綾辻行人   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:蒼月 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年1月21日 18時

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