第三十四話 邪魔 ページ36
「動くな!両手を後ろに!この手の逮捕は訓練でみっちり叩き込んだから、逃げられはしませんよ!」
「くははは……無駄じゃ。儂を有罪とする証拠はない。三日後には無罪放免じゃ。」
「だろうな。だがそれで構わない。お前が黒幕と判っていて誘いに乗ったのは、政府に知らしめる為だ。」
「政府御用達の判じ物師……京極の真の姿をな。」
京極は笑う。
「くく……くくく。期待通りじゃ。」
「何が可笑しい。」
尋ねると、京極夏彦は答えた。
「判らぬか?何故彼女に首輪を掛けたのかを。」
「君は瓦斯で彼女を殺す事も出来た。しかし、そうしなかった。」
「それどころか、儂に対する切り札に用いた。其れも今日逢ったばかりの特務課の新人を。」
「────真逆お前、それを確かめる為に今回の件を……?」
「綾辻君、辻村君。矢張り君たち二人こそ“式”の発生源に相応しい。」
「お前一体何を。」
「くははは、くはははは……」
「京極!何を企んでいる!答えろ────!」
京極は笑うばかりで何も答えなかった。
『……私のことを除け者は少し哀しいねえ。』
『京極夏彦……君の企んでいることを私は知っている。』
『予言しようか、君は二年後には死ぬということを……其れで貴方のやりたいことは完成する。』
「!」
「そうか、君が予言者か……死んだと噂されとったが生きていたのか。」
そう云うと京極はAを睨む。
『悪いね、今は足を洗って新たな人生を歩んでいるんだよ。』
「……儂にとって君は邪魔じゃ。」
『嗚呼、勿論理解している。だが此方も約束がある、未だ死ぬわけにはいかない。』
『でもね。君のことを止める気もないんだよ。』
判ってくれ。とまるで母親が子を諭すかのように、優しい目をしていた。
「……目的はなんじゃ?」
『……私は君が死ぬまで邪魔をしない。』
『君は私を殺そうと企むのが目に見える、私も一般人に抵抗をして傷をつけたくない。』
「取引か。」
その問いに対し、頷いて答える。
『完璧な式を組み立てたいらしいが、それで私を殺そうと企んでみろ─────その企みを全て壊してやる。』
殺意が朝の海風のように胸を吹き抜けるのを感じる。
敵に回してはならないと、脳が警報を上げているのだ。
「……諒解。じゃがその計画を他者に話したら、」
『その先は聞く必要が無い。』
─────天才は何処まで知っているのか誰一人と判らない。
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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