第九話 条件 ページ11
『随分苦労を掛けてしまった、何せ初対面の人と話すのは久し振りだ。』
目の前に居る中学生位の子供は、先程とは打って変わって堂々と話している。
普段なら無理と分かると直ぐに引く坂口君は今回の件だけは引く気が無い様だ。
『何故安吾が今回は引かずに居座るのか理由が知りたいのかい?』
「…心の中を読まれているようで余り良い気はしない。」
そう返事をすると、子供はにんまりと笑って其れはすまないねと言った。
子供を観察すると先程隠れていただけあって、緊張により手が僅かに揺れている。
だが、先程の年相応な態度が無くなったお陰で会話が成立するようになった。
『安吾が今回引かない理由は他でも無い、既に理解している通り私が原因だ。』
『私は保護された側と言うよりも、自ら望んでいった、特一級異能力者にしてと無茶を言ったのはとある目的があった。』
ふと彼女と目が合うと、時が止まったかのように感じた。
『────綾辻行人、君に会うためだよ。』
一つのピースがかちりと嵌った。
「……俺に会って何がしたいと言うんだ、助手は募集してないぞ。」
俺は煙管に火をつけ、彼女を見つめる。
『何がしたいか…、そう言われるとしっくり来る物は一つしか無い。』
彼女は儚く、人形のように笑う。
『────君の異能で殺してくれないか?』
は?という言葉は坂口君と被ることになった。
『勿論、事故死の対象になるのは殺人や凶悪な殺人未遂を犯した犯人、殺した対象に殺意を持っていて、その犯人にしか行えなかったと証明されること、そして綾辻先生が依頼された事件の犯人であること。この条件なのは理解している。』
『何度もジサツ未遂をしたが、天才は運にも好かれるようでね、中々死ねないんだ。』
『別に今すぐにって訳でも無い、希望は四年後かな。』
少女のようなあどけない微笑を浮かべる彼女。
「…なぜ死にたいんですか。」
坂口君がそう尋ねると、『じゃあ、なぜ君は生きているの?』…坂口君は黙った。
「分かった、四年後その依頼を受けると約束しよう。」
『本当かい?!』
彼女はまた少女のように笑う。
「だが、条件がある。」
そう言うと、条件?と首を傾げた。
「────君は四年後、つまり死ぬまで俺のメイドだ。」
自称天才と言う彼女はプライドが高いだろうと推測し、これなら身を引くだろうと出した条件だ。
だが、その予想は大に外れた。
『え?そんな事でいいのかい───?』
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蒼月(プロフ) - ┏( .-. ┏ ) ┓ウリャさん» コメントありがとうございます!面白いと言って下さりとても嬉しいです…!モチベが無くなっていた為、とても助かりました。王子さま良いですよね…私もこの本が大好きなんです…! (9月4日 17時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
┏( .-. ┏ ) ┓ウリャ - めっちゃ面白いです!!!しかも異能力名が自分もめっちゃ好きな本なので更に興奮(?)しました。有難う御座います!!! (9月4日 0時) (レス) id: 2c963f022d (このIDを非表示/違反報告)
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