恋5 ページ5
6時間目が始まる前、俺はダチに教えてもらったAちゃんのクラスを訪ねた。
「きゃーーっ！二郎くんどうしたの？！」
「なになにー！？」
うおっ、っと怯んでしまう。
いや、違ぇ
今はAちゃんにありがとうって言わなくちゃ
「あのよー、Aさんっている？」
「Aちゃん？いるかなぁ」
「あ、さっき保健室行ってたよ？」
「じゃあ、まだいるんじゃないかな？」
「そっか、サンキューな」
まだキャーキャー騒ぐ女子を背に、保健室へ向かった。
「しつれーしまーす」
ドアを開けた瞬間、気持ちいい冷気がこぼれ出てきた。
「あら、いらっしゃい。どうしたのかしら？」
「あ、いやー…えっと…」
い、いねぇ…
返事に困っていたその時、閉まっているカーテンが見えた。閉まっている、ということはそこにいるのだろうか。
「せんせー、ちょっときてー」
間違いねぇ、今カーテンの中からあの子の…Aちゃんの声が聞こえた。
「あ、はぁーい。じゃ、何かあったら言ってちょうだい。ベッドは空いてるわよ」
そう言って先生は空いている方のカーテンの中のベッドを指差し、閉まっている方の中へ入って行った。
「(時間、空いてからでいっか…)」
仕方なく、俺はカーテンを閉めベッドに横になった。
「あーらら、言わんこっちゃない。じんましん出てるじゃない。それに喉もやられてるんじゃない？」
「だって〜、みんなと遊びたかったんだもん」
「あなた喘息持ちだし、日光にも弱いんだから気をつけなさいね」
「はぁい」
ああ、納得だ
こんなあちー時期に長袖のジャージなんか着るのおかしいもんな。
「薬は？」
「お薬はうさぎさんのポーチの中！」
「ああ、持ってるのね。じゃあ安心。飲んでから授業でるのよ〜」
「はぁい」
そこで会話は途切れ、何も聞こえなくなった。
出るに出られない状況下で仕方なく俺は目を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：音夜 | 作成日時：2021年2月27日 1時
