狐と兎 3

一人にさせない ページ6

(神威)……。

(A)私…最初…ここに入ってあの時のようにいいように使われて捨てられるんだと思ってました。…使われるのは慣れているんで。

(神威)……そんなことしないヨ…。

(A)…え？

(神威)Aは俺たちの大切な仲間だよっ！

(A)…仲間。

(神威)俺は…絶対にAを捨てたりしないっ！もう一人になんてさせない！

(A)！……。

あれ？涙が……なんで？

……止まらない……

……生きていて…こんな言葉……初めて…言われた…。

自分はいらない人間だとずっと思って生きてきた…。

なのに…なのに…こんな言葉言われるなんて……反則ですよ……。

(A)…有難うございます…。

私は大丈夫だと伝える為に涙を拭き、めいいっぱい笑顔を見せた。

─と

なにかに包まれた。

…え？

ゆっくりと上を見てみると…

団長…？

…え？私…団長に今抱き締められてるの？

えェェェェ！

さっきから心臓がうるさい…。

恐る恐る声をかけてみる。

だ、団長…？

(神威)…ごめん…急に…。

…でも…大丈夫だから…絶対に…一人にさせないから……だから…もう一人で苦しまないでヨ。

Aは安心したように抱きしめ返してきた。

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